2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K16270
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小原 宏哉 北里大学, 医学部, 講師 (40596483)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 毛包幹細胞 / ネスチン / 脊髄損傷 / ヒト / 他家移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにネスチン陽性毛包幹細胞を培養することで得られた細胞を、急性期・慢性期脊髄損傷モデルマウスに自家移植を行い、損傷脊髄の機能的・構造的改善を証明してきた(Obara, et al. Stem Cell Rev Rep. 2019;15:59-66. Obara, et al. PLoS One. 2022;17:e0262755.)。我々は現在ヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞から分離された細胞を、急性期脊髄損傷ヌードマウスに他科移植する実験を施行中である。この実験ではヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞を培養し、マウスに移植後4週間運動機能評価(BMS score、Open field test、footprint analysis)を行った。いずれも経過とともに、コントロール群と比較した結果、有意差をもって運動機能改善を証明することができた。また脊髄損傷部位の組織学的検討にて、移植したヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞は生着しており、宿主側の脊髄よりGABA分泌性ニューロンやグリア細胞の新生・増殖を促進していることがわかった。以上からヒト由来毛包幹細胞においても損傷脊髄の機能的・構造的改善を証明することができた。この結果については2024年4月にテキサスで行われた第13回世界毛髪研究学会においてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞の脊髄損傷モデルヌードマウスに対する移植実験を行い、幹細胞移植による有効性を証明する良好な結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後ヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞の脊髄損傷モデルヌードマウスに対する移植実験の結果を分析して論文化し、科学誌に投稿する予定である。また長期的な方針としては脊髄損傷患者において自己のネスチン陽性毛包幹細胞を毛髪から採取、分離し自家移植を行うことで治療効果を判定し、臨床応用を目指す。
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Causes of Carryover |
実験の結果がスムーズに得られ、購入を予定していた物品やマウスを必要としなくなったため。よって次年度に予定している実験で発生する費用に賄うこととする。
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