2022 Fiscal Year Research-status Report
MALDI-TOF MS(質量分析器)による黒色真菌迅速同定
Project/Area Number |
22K16271
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
二ッ谷 剛俊 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80835885)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MALDI-TOF MS / 黒色真菌 / Exophiala |
Outline of Annual Research Achievements |
黒色真菌症は稀であるが、皮膚のみでなく全身に播種し致死的であることから発展途上国を中心に世界中で問題となっている。黒色真菌症は菌種により治療法が異なり迅速に菌種を同定することが重要であるが、菌種同定は専門性が高く、時間を要する点が問題であった。質量分析器(MALDI-TOF MS)を用いた菌種同定法は迅速・簡便であり、すでに細菌同定に実用化されている。本研究は、MALDI-TOF MSを用いて黒色真菌の迅速同定を確立するものである。黒色真菌症の中でも頻度の高いExophiala属を対象としてMALDI-TOF MSの有用性を検討した。現在販売されているライブラリ(データベース)には黒色真菌の登録がほぼない状態であることから、基準となる菌株を登録しin-houseライブラリを作成した。 検査の前処理法としては、現在使用されているMALDI-TOF MSで糸状菌同定する際の前処理方法は繁雑で時間を要することから、斜面培地で造成したコロニーを直接利用する前処理法と、コロニーを触接検査する最も迅速な方法を比較検討した。従来の方法と比較し、検査結果のスコアは前者の方が後者に比べて従来法との差が少なく、実臨床に適していると考えた。 この前処理法を使用して、当施設に同定依頼となったExophiala属をMALDI-TOF MSで検査を行った。照合するデータベースは従来のライブラリに加え、上記の新たに登録したin-houseライブラリを使用した。結果として、30/31株で最もスコアの高い菌種は遺伝子同定の菌種と一致した。MALDI-TOF MSのライブラリの充実と前処理法の工夫により、Exophiala属については同定が可能であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究は完了し、データは出揃い、現在は論文報告に向けて論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
論文報告を行い、今回の成果を報告する。 他の菌種でも同程度の検査結果が得られるかを検討していく。 また、関連学会への参加・発表論文から情報収集を行い、本研究に生かすことのできる事項を検討していく。
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Causes of Carryover |
学会参加がハイブリット開催となったため旅費部分が不要となった。次年度は論文作成、英文校正などの費用が必要であり、追加実験が必要となった場合に必要分の消耗品購入費として使用予定である。
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