2022 Fiscal Year Research-status Report
斑状強皮症型基底細胞癌の高悪性度特性を規定する背景因子解明のための遺伝子発現解析
Project/Area Number |
22K16286
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
内海 大介 琉球大学, 医学部, 特命助教 (40551958)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 基底細胞癌 / 斑状強皮症型 / single cell RNA-seq / mutational signature解析 / マトリックスメタロプロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、基底細胞癌の各病型について、特に斑状強皮症型の臨床的、病理組織学的な表現型形成に関与する遺伝子および遺伝子群の同定、さらにその背景に存在する遺伝子変異プロファイル検証のための基礎的データを確立し、基底細胞癌の各病型の病態や発症機序の相違を明らかにすることを目的である。これまでの予備解析に使用した斑状強皮症型と結節型基底細胞癌の症例に加え、更に症例数を増やし、現時点で合計20検体の症例の収集が終了した。それらのトランスクリプトームシーケンスを行い、解析を進めている。これまでの予備解析で有意に遺伝子発現変動が確認されたコラーゲンおよびMMP遺伝子ファミリーに加え、いくつかの特徴的な遺伝子ファミリーの発現変動が確認された。これらの遺伝子は、これまでに腫瘍の悪性度と関連が示唆されていることから、斑状強皮症型基底細胞癌の高病原性と関連があることが推測される。これらの遺伝子のタンパクレベルの発現変動を確認するため、当該遺伝子ファミリーのいくつかの遺伝子に着目し、斑状強皮症型基底細胞癌の臨床組織検体を使い免疫染色をすすめている。いくつかの遺伝子については免疫染色でタンパクの発現変動が確認された。これらの異なる基底細胞癌の病型の群間に置いて、特徴的な遺伝子発現変動が見られる現象は、基底細胞癌の遺伝子変異パターンの差異に起因すると考えられる。この差異を明らかにするために、腫瘍のゲノム配列をエクソーム解析により明らかにする。まず、各病型合わせて15症例の基底細胞癌症例において、39の遺伝子に着目し、変異を同定するためのシーケンを終了している。今後、2群間で特徴的な遺伝子変異パータンが存在するか検証し、各病型の表現型との関連を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較的症例数の少ない斑状強皮症型基底細胞癌は他施設と協力し、検体の収集がすすんでいる。そのためトランスクリプトーム解析およびエクソーム解析に供するサンプル数も研究期間内に十分に得られると予測されている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の解析は、主にトランスクリプトーム解析による斑状強皮症型基底細胞癌と結節型基底細胞癌の群間の遺伝子発現変動にフォーカスを置いている。この解析により検出された特徴的な遺伝子発現変動を示す遺伝子に着目し、それらをタンパクレベルでの発現を、基底細胞癌検体を用いて免疫染色を行う。さらにエクソーム解析を行い、これらの遺伝子発現、タンパク発現の変化に関連する遺伝子変異の検出を目指す。また、腫瘍に生じた遺伝子変異数を集計し、100万塩基対あたりの腫瘍遺伝子変異量(TMB)を算出し、病型間でTMBの差異が存在するかを確認する。Mutational signature解析を行うことで紫外線による変異原性の影響がどの程度存在するかを確認したい。
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Causes of Carryover |
トランスクリプトーム解析およびエクソーム解析に必要なシーケンスを外部委託している。サンプルの収集は順調に進んでいるが、シークエンスのための委託業者への提出が遅れたため。今後、提出の遅れているサンプルについては、順次シーケンスを行う予定である。
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