2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating excessive fibrosis in systemic sclerosis via abnormal IRF8 expression
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22K16287
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
乙竹 泰 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10909427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / IRF8 / 単球 / マクロファージ / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
①骨髄特異的IRF8ノックアウトマウス(IRF8cKOマウス)の肺組織についてブレオマイシンによる線維化誘導の評価を行った。 昨年度に引き続きブレオマイシンの背部の皮下投与および気管内投与による肺線維化誘導モデルマウスの作成を試みた。気管内投与により病理組織では一部のIRF8cKOマウスにおいて線維化の亢進を示唆する所見は見られたものの、qRT-PCRやヒドロキシプロリンアッセイにおいては野生型と比して統計学的に有意な線維化誘導は認めず、IRF8cKOマウス肺における線維化誘導の亢進は確認ができなかった。 ②今後の線維芽細胞との共培養を念頭に、ヒト単球におけるIRF8のノックダウンについて引き続き予備実験を行った。従前より当教室で使用していた試薬の販売中止に伴い、新たに試薬を複数導入しsiRNAを用いたRNA干渉法によるノックダウンを行った。ノックダウン効率はある程度目標を達成できるようにはなったが、細胞の生存率が極端に低く、ノックダウン後に培養実験を行うのは困難と判断した。今後はIRF8cKOマウスから単球を採取し、それを用いて共培養実験を行う方針とした。 ③IRF8cKOマウスからの単球分離の予備実験を行った。当初末梢血からの分離を試みたが、単利された細胞集団においては単球(CD11b、CD115陽性細胞)の割合が低値であった。そのため、骨髄からの採取に方針を変更し実験を継続中である。 ④全身性強皮症患者単球における抑制性マクロファージマーカー解析のため、患者より単球を採取し、cDNAを得た。今後これを用いて抑制性マクロファージマーカーのmRNA発現を解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画の通りに実験を行っている。しかしながら、当初予想されていたのとは異なり骨髄球特異的IRF8ノックアウトマウスにおいては肺の線維化は自然発症せず、かつブレオマイシンを用いた線維化誘導でも、野生型と比して有意な線維化は誘導されなかった。今後は肺以外の臓器にも注目して解析を続ける。 単球におけるRNA干渉法によるノックダウンは試薬の選定に難渋しており、今後はIRFcKOマウスの骨髄から抽出した単球を用いて検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄球特異的IRF8ノックアウトマウスにおいて、肺以外の心臓、腎臓、消化管などの臓器における線維化について解析を進める。線維化を認めた臓器においてはPCR法やウエスタンブロットによって線維化を誘導するサイトカインや転写因子の解析を行い、機序解明を目指す。 線維化がみられた臓器においてはマクロファージの抽出を行い、機能解析を行う。現状では細胞抽出の条件が整っていないため、引き続き予備実験として抽出の条件検討を行う。 IRF8cKOマウスの骨髄由来単球を線維芽細胞と共培養することによってIRF8低下単球が線維化を誘導する詳細な機序を証明する。 その他、近年抑制性マクロファージマーカーと線維化についての報告が相次いでおり、全身性強皮症患者の単球における抑制性マクロファージマーカー発現を評価し、これらのマーカーとIRF8との関連を解析することにより、IRF8による線維化誘導の新たな機序の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
骨髄球特異的IRF8ノックアウトマウスにおいて、当初予想していた肺の線維化亢進が現状では見られなかった。またヒト単球においてRNA干渉法を用いたIRF8のノックダウンが想定した水準に至らなかった。それに付随した追加実験を行うことができなかったため、当初予想よりも支出額が低くなり、次年度使用額が発生した。次年度以降、肺以外の臓器の線維化の評価や、IRF8cKOマウス由来単球を用いた共培養実験、全身性強皮症患者における抑制性マクロファージマーカーの解析等を行い、差額分の金額を使用していく。
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