2022 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫での治療効果予測バイオマーカー探索:血清cfDNAの経時的解析
Project/Area Number |
22K16293
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
立田 卓登 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (70877092)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / cfDNA / レナリドミド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多発性骨髄腫での治療効果予測バイオマーカー探索のため、血清cell free DNA(cfDNA)に着目してその有用性を検討するものである。本年度は新型コロナウイルス感染症による入院制限、移動・活動制限の影響もあり、新規の臨床検体保存が予定通り進まなかった。そのため、主に既存のシークエンスデータの解析やこれまで特定されたバイオマーカー候補の遺伝子の機能解析の準備、予備データ作成を主に行った。 これまでの我々の多発性骨髄腫症例の骨髄検体、cfDNAの解析ではLd療法中に特定の遺伝子変異(KRAS、RB1、CYLDなど)が新規に出現することを見出しており、これらの遺伝子が治療抵抗性に関与していることが示唆され、cfDNAでもこれらの変異を捉えることが可能であった。バイオマーカーとしての有用性が期待できるものの症例ごとに疾患背景、治療背景が異なるため、染色体異常や前治療別に解析する必要があり、対象症例を増やしながら更なる検討を進めていく。 またこれらのバイオマーカー候補遺伝子の変異の有無や蛋白発現量の違いによる各種治療に対する反応性、耐性機序の解明のため、細胞株を用いた機能解析、既存臨床検体を用いた骨髄クロット標本の免疫染色などの準備を行っている。機能解析では特定の遺伝子のノックアウトの後、レナリドミドやデキサメサゾンなどの治療薬を加えることで細胞生存にどのような影響を与えるか、MTSアッセイやアポトーシスアッセイ(アネキシンV、7-AAD)を用いて検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウイルス感染症による附属病院での入院制限などの要因から当院での新規臨床検体の保存が予定通りに進まなかった。また移動制限・活動制限の影響もあり、共同研究施設からの臨床検体収集、共同研究が限定された。このため、当初の申請計画からは遅れが生じている。 一方で、いくつかのバイオマーカー候補となる遺伝子、蛋白は特定されており、こちらの機能解析も並行して進めているため、"やや遅れている"と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、新規の検体保存を進めながら、既存検体の解析を行っていく。またこれまでの検討の中で検出された変異に関して、引き続き細胞株を用いた機能解析や実症例データを用いたバイオマーカーとしての有用性の検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度は新規の臨床検体が当初の研究計画よりも少なく、検体保存用の試薬や細胞分離に必要な研究試薬の購入が少なかった。次年度以降で検体量が増えることが予想され、本年度生じた残余分の費用を試薬購入に充てる予定である。
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