2023 Fiscal Year Research-status Report
X連鎖性鉄芽球性貧血における鉄依存性細胞死および鉄代謝制御の解明
Project/Area Number |
22K16294
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野 浩弥 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (80930445)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | フェロトーシス / X連鎖性鉄芽球性貧血 / ALAS2 / 無効造血 / フェロポーチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではX連鎖性鉄芽球性貧血(X-lineked sideroblastic anemia:XLSA)モデルマウスの作成と解析を主目的とした。improved genome-editing via oviductal nucleic acids delivery(i-GONAD)法によりAlas2 R170LおよびR170H変異を持つマウスの作出を試みた。しかし、いずれのモデルも生後表現型解析が困難であることがわかった。赤血球前駆細胞株human umbilical cord blood-derived erythroid progenitors(HUDEP)-2細胞から樹立したXLSAモデル細胞(ALAS2 R170LおよびALAS2 R170H)の解析では、XLSAではヘム応答性転写抑制因子BACH1の発現上昇がグルタチオン合成低下を介してフェロトーシス感受性増大に関与することがわかった(Ono K et al. Sci Rep 2022)。また、プロテオーム解析をおこなったところ分化後のXLSAモデル細胞ではフェリチン、フェロポーチン、Iron responsive element/Iron regulatory protein(IRE/IRP)といった細胞内鉄バランスの維持機構の有意な発現変化を認めた。また、転写因子NRF1や赤血球造血のマスター制御因子GATA1、フェロトーシス制御因子FSP1の発現が高かった。これらの結果から、XLSAにおいて赤血球前駆細胞では複数のメカニズムでフェロトーシス感受性増大が代償されているとわかった。研究結果について63rd American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting & Exposition (New Orleans, LA, USA)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者のこれまでの研究でXLSAの病因遺伝子であるAlas2のエンハンサーヘミ欠損マウスは胎生致死であり表現型解析に不向きであることがわかった(Saito K and Ono K et al. Mol Cell Biol 2019)。そこでAlas2の酵素機能が部分的に保たれたAlas2ミスセンス点変異(Alas2 R170LおよびAlas2 R170H変異)マウスを作成後、①XLSAモデルマウスの表現型解析、②フェロトーシスおよび全身の鉄代謝制御を標的とした治療によるXLSA改善効果の解析を行うこととした。しかし、作出したAlas2 R170Lマウスは貧血様の表現型のため生後6日までに死亡し、臨床的にさらに重篤な貧血となるAlas2 R170Hマウスは胎生致死を起こすことが分かった。いずれのモデルも生後表現型解析が困難であり、今後は当初の目的を達成するために、HUDEP-2から樹立したXLSAモデル細胞の解析に焦点を移すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
HUDEP-2から樹立したXLSAモデル細胞とOP9細胞との共培養による実験系を用いて赤血球前駆細胞におけるフェロトーシス感受性増大のメカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
物品納品の遅延によって生じたものである。令和6年度請求額と合わせて、物品の納品に必要な経費として使用する予定である。
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