2022 Fiscal Year Research-status Report
EVI1高発現白血病での白血病幹細胞の維持機構の解明と治療法の探索
Project/Area Number |
22K16299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日野 俊哉 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20935746)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性白血病 / 白血病幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
EVI1は造血幹細胞の維持に重要な転写因子として知られるが、急性骨髄性白血病においてEVI1高発現によって特徴づけられる5~10%程度のサブグループは、あらゆる治療に抵抗性を示す極めて予後不良の集団であることが知られる。近年、白血病細胞の中に正常造血系と同様に分化の階層性が存在し、その頂点の白血病幹細胞が難治病態の形成や再発に関わることが知られるようになった。本研究ではEVI1が白血病幹細胞の幹細胞性(自己複製能、未分化性)の維持に関わっている機構を明らかにすることを目的とする。EVI1高発現白血病マウスモデルを用いて、白血病幹細胞が濃縮されている分画とそれ以外の分画それぞれについてトランスクリプトーム解析およびクロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いたEVI1のDNA結合部位の網羅的解析を行った。トランスクリプトーム解析では白血病幹細胞が濃縮されている分画でそれ以外の分画と比較して有意に高発現が認められた遺伝子を抽出し、ChIP-seq解析では白血病幹細胞が濃縮されている分画でEVI1のDNA結合部位として得られた領域が制御すると考えられる遺伝子を、公共データーベースを参照して結合部位近傍遺伝子として抽出した。上記の解析により抽出された遺伝子において、重複する遺伝子をEVI1が制御する白血病幹細胞の維持に関わる遺伝子の候補として考えた。現在、どの遺伝子がEVI1高発現白血病の白血病幹細胞の維持に寄与しているかについて解析を継続しておこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EVI1高発現白血病マウスモデルを用いて、トランスクリプトーム解析およびChIP-seq解析よりEVI1が制御する白血病幹細胞の維持に関わる遺伝子の候補を抽出した。今後、これらの遺伝子の中でEVI1高発現白血病の白血病幹細胞の維持に寄与している遺伝子をノックアウトライブラリーによるスクリーニングを用いて同定し、さらに治療標的としての有用性について検証を行う予定である。候補遺伝子の絞り込みについて完了しており、一定の進捗が得られていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに抽出したEVI1が制御する白血病幹細胞の維持に関わる遺伝子の候補について、どの遺伝子が白血病幹細胞の維持に寄与しているかについて絞り込みを行う。具体的には、上記で抽出された遺伝子についてCRISPR/Cas9技術を用いてノックアウトライブラリーによるスクリーニングを行い、EVI1高発現白血病モデルマウスにおいて白血病幹細胞の維持に必要な遺伝子を同定する。同定した遺伝子においてEVI1が制御するDNA結合領域をChIP-seq解析のデータから特定する。また、同定した遺伝子のノックダウンやノックアウトがEVI1高発現白血病において白血病幹細胞の形質を打ち消し、治療標的となりうるかを解析する。さらに、EVI1高発現白血病患者の白血病細胞に対して、これらの結論が実臨床でも裏付けられるかを検証する。
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