2022 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群患者由来iPS細胞の樹立および病態解析・新規治療法の探索
Project/Area Number |
22K16300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 晃 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40779394)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は第一には骨髄異形成症候群(MDS)に特徴的な染色体異常/遺伝子異常をマーカーとしたMDS患者由来iPS細胞(MDS-iPSC)の樹立を目標としている。 これまでの進捗として、MDSに特徴的な染色体異常を有するMDS-iPSCの樹立に成功した。また並行してMDSに特徴的な遺伝子変異を有する症例の探索を進めている。 今後は、樹立したMDS-iPSCによりin vitro、in vivoでのMDSの病態再現が可能かどうかの検証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当科のデータベースを用いて、今回の疾患マーカーとなりうる染色体異常を有するMDS患者を検索した。その中でt(3;3)転座を有する症例に着目しMDS-iPSCの樹立を試みた。 具体的には、すでに凍結保存していた該当検体を数日間前培養したのちに、エピゾーマルベクターによるリプログラミング因子(OCT3/4, L-MYC, SOX2, KLF4, LIN28, shP53)の導入を行った。これにより複数のiPSC株を得ることに成功した。引き続いて、これらの株から腫瘍由来iPSCを同定するために、複数のiPSC株で染色体検査を実施した。その結果、t(3;3)を有するiPSC株が存在することが判明し、この株は腫瘍由来のMDS-iPSCであることが分かった。 また遺伝子変異を疾患マーカーとするために多数の患者検体を用いたサンガーシークエンスによるスクリーニングを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは今回樹立に成功したt(3;3)を有するMDS-iPSCを用いて、MDSの病態再現が可能か検証を進める。具体的にはiPSCから血液細胞に分化誘導しその特徴を解析する。iPSC由来の血液細胞の形態、増殖能、アポトーシスの状態などを解析することにより、in vitroでMDSの病態再現が可能かを確認する。再現可能であった病態についてはさらにin vivoでの解析を試みる。具体的にはMDS-iPSCを免疫不全マウス(NSG)に皮下移植し奇形腫を形成させる。皮下移植した奇形腫からiPSC由来の造血が誘導されることが知られており、この血液細胞を解析する。 また、遺伝子変異をマーカーとしたMDS-iPSCの樹立も試みる。特定の遺伝子変異を有するMDS-iPSCが樹立できた場合にはt(3;3)と同様にin vitro、in vivoでの病態再現を試みる。
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