2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能、受容体編集によるT細胞を細胞骨格としたバイオマイクロマシンの開発
Project/Area Number |
22K16301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南川 淳隆 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (90838822)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トロゴサイトーシス / バイオエンジニアリング / シェディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マイクロバイオマシンを作成する目的で、さまざまな構造の人工受容体をクローニングし、機能編集を行った。当初はタイプC-Gタンパク受容体である味覚受容体の改変を行っていたが、その過程で、受容体の切断現象であるシェディングの機能に興味をもった。 研究の過程で、免疫療法に用いられるキメラ受容体において、受容体の切断現象であるシェディングが、受容体を介したリガンドタンパク質の細胞間移動現象のであるトロゴサイトーシスをコントロールしていることを新たに発見した。シェディング構造を膜貫通部位に持つキメラ受容体(Cleavable-CAR)は、切断が起こらないCARと比較し、トロゴサイトーシスによるターゲット細胞上のリガンドタンパク質の移動が抑制され、リガンド発現の減少が抑えられることが原因と考えられる反応期間の延長を認めた。また、CD19-CARを始めとするin vivo血液腫瘍モデルにおいてもCleavable-CARは有意な生存延長を確認し、キメラ受容体におけるシェディングの意義を示すことに成功した。 さらに、トロゴサイトーシスとシェディングの関係性、コントロールの方法についての更なる知見を得ることに成功した。本研究で得られた知見は、今後の免疫療法におけるキメラ受容体の設計理論を進歩させるものであるのみならず、生体内のさまざまな受容体で起こっている現象であるトロゴサイトーシスとシェディングの関連を示すものであり、研究として今後の発展を期待している。
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