2022 Fiscal Year Research-status Report
クロマチン高次構造変化と慢性炎症による白血病の遺伝子異常獲得機序の解明
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22K16306
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河合 麻友 (徳舛麻友) 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特定事業研究員 (50942687)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クロマチン高次構造 / クロマチンループ / 白血病 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においてクロマチン高次構造異常と白血病化機構の関連を明らかにすべく、異常転写因子複合体形成により白血病化をきたす16 番染色体逆位[inv(16)]急性骨髄性白血病(AML)をモデルに研究を進めている。 本年度は、米国国立衛生研究所研究室との共同研究により、inv(16)AMLマウス由来の白血病細胞を用いて高深度のクロマチン高次構造解析(Hi-Transposase-mediated analysis of chromatin looping, Hi-TrAC)を行い、inv(16)AMLに特異的なクロマチン高次構造変化を明らかにした。また、本疾患特異的オンコプロテイン(CBFβ-SMMHC)とその共役転写因子、クロマチンループ形成因子(CTCF, コヒーシン)のゲノム上局在部位を解析中であり、CBFβ-SMMHCとその共役転写因子がinv(16)AML特異的クロマチンループ形成に関与している可能性を示唆する結果を得ている。このことから、inv(16)AML特有の異常転写因子複合体が、転写という機能面のみならず、クロマチン高次構造の変化も誘導し、エンハンサー-プロモーター・エンハンサー-エンハンサー相互作用を変化させることで、さらに強く正常遺伝子転写機構を撹乱していると考えられる。 今後は本疾患特異的クロマチンループ形成におけるCBFβ-SMMHCの詳細な役割、共役因子を明らかにする。以上の結果は、inv(16)AMLのさらなる病態解明、新規治療法確立につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のため新規inv(16)AMLノックインマウスを作成したが、これらマウスが長期間白血病を発症せず、研究が停滞した。このため、従来のinv(16)AMLノックインマウスを使用した実験系への切り替えが必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
inv(16)AML特異的クロマチンループ形成におけるCBFβ-SMMHCの直接的あるいは間接的役割を同定し、その共役因子の有無を明らかにする。さらに、CBFβ-SMMHC依存的クロマチンループの阻害法を究明する。
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Causes of Carryover |
本研究のため作成した新規inv(16)AMLノックインマウスが、長期間白血病を発症せず、研究が大きく停滞し、従来のinv(16)AMLノックインマウスを使用した実験系への切り替えなどが必要となった。このため、本来目的とした実験が円滑に進まず、次年度使用額が生じた。
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