2023 Fiscal Year Annual Research Report
老化細胞除去で有害事象軽減と治療効果増強を実現する高齢血液悪性疾患の新治療戦略
Project/Area Number |
22K16307
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西 由希子 琉球大学, 病院, 医員 (60793924)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | senolysis |
Outline of Annual Research Achievements |
96ウェルプレートを用いて2x104EL4細胞、A20細胞をRPMI+10%FBS+ BPTES0, 5, 25 μM で培養し、24/48/76時間後にトリパンブルーによる目視カウントで生細胞数を測定した。 EL4に関しては、BPTES添加培地ではBPTES用量依存的に非添加培地による培養と比較し10-20%程度の生細胞数であった。A20に関しては48時間、72時間後ではBPTES添加培地ではいずれの群も約50%の生細胞数であった。BPTESを添加することで腫瘍細胞増殖が抑制されることが示唆された。
80週齢の雌C57BL6/Jマウスの右側腹部にEL4細胞(B6由来T細胞リンパ腫細胞)を皮下注射し、老齢リンパ腫モデルを作製した。モデルマウスを①BPTES+CHOP群 ②BPTES単独群 ③CHOP単独群 ④コントロール群(無治療)に各群6匹ずつにわけ、BPTES+CHOP群及びCHOP単独群には移植後8日目、15日目、22日目にCHOP療法を施行し、BPTES+CHOP群及びBPTES単独群にはBPTESを週3回、移植後3週間にわたり腹腔内投与した。コントロール群の全例でEL4生着、腫瘍死を認めたが、BPTES単独群で腫瘍の生着が確認されず長期生存が得られたマウスを1/3に認めた。CHOP+BPTES群ではCHOP単独群と比較し、生存に関しては有意な延長を認めなかったが、CHOP+BPTES群でCHOP単独群と比較し白血球数、血小板数が高値である傾向を認めたが、有意差は明らかでは無かった。化学療法にBPTESを併用することで、化学療法による血球減少を軽減できる可能性を検討したが、本研究の薬剤投与量がマウスの骨髄抑制誘導には十分でなく、差が明らかとならなかった可能性が考えられた。本研究において、BPTESは抗腫瘍効果と血球減少の軽減をもたらす可能性が示唆された。
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