2022 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫ハイリスク染色体異常MAFBの低酸素骨髄微小環境における機能解析
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22K16316
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
池田 翔 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (20791495)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / MAFB / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫は難治性の造血器腫瘍であり、これまで複数の予後不良遺伝子異常が明らかとなった。私たちはそのなかで転写因子MAFBが、転座による異常発現だけでなく、細胞に与えるストレスによって誘導されることを認めていた。したがって、細胞へのストレスが高い骨髄微小環境において、MAFBが薬剤耐性や細胞生存に寄与している可能性があり、検討を継続している。 ・骨髄腫微小環境で酸化ストレスの緩和に関与し抗アポトーシスに作用するヘムオキシゲナーゼ-1(HMOX1)が、低酸素環境におけるMAFBの標的であることを明らかにした。MAFBは低酸素刺激によって発現が上昇し、そのノックダウンによって正常酸素培養では変化が起こらないが、低酸素環境ではHMOX1を含む特異的な標的遺伝子を制御することを明らかにした(Cancer Med. 2023. 12(8):9709-9722)。 ・さらに、MAFBのノックダウンだけではなく、CRISPR/Cas9キットとエレクトロポレーションを使用し、細胞株に対するノックアウトに成功した。今後、ノックアウトした細胞をより純化し、フェノタイプや微小環境を模した培養環境での遺伝子発現解析を実施する予定である。 本研究の目的が達成されれば、これまで抗体療法以外の分子標的薬が限られていた多発性骨髄腫において、新規治療標的分子が明らかとなる。さらに、骨髄微小環境で発現が上昇する遺伝子に対する治療戦略の構築につながり、一度寛解した患者の再発防止戦略にも寄与すると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のように、MAFBの機能について部分的にすでに1報査読付き英文誌にアクセプトすることができたこと、さらなるMAFBの骨髄腫微小環境における機能解析のため、ノックアウトを成功させることができたため、おおむね順調に進展していると判断しました。
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Strategy for Future Research Activity |
MAFBのCRISPR/Cas9キットとエレクトロポレーションを使用し、細胞株に対するノックアウトに成功したが、ノックアウトされた細胞の割合が低く、今後ソーティングや薬剤による選別を行う必要がある。十分な純度となれば、低酸素暴露などの微小環境を模した培養環境でcDNAマイクロアレイを行い標的遺伝子を網羅的に抽出し、重要な遺伝子について骨髄腫の分子病態解明に寄与するかや新規治療標的となりうるかを検討していく。
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Causes of Carryover |
使用した消耗品が予定より若干少なかったため次年次使用額が128,897円生じた。この資金は2023年度の実験の消耗品におもに充当する予定である。
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[Presentation] Hypoxia-induced oxidative stress promotes proteasome inhibitor resistance via upregulation of heme oxygenase-1 in multiple myeloma.2022
Author(s)
Abe, K., Ikeda, S., Nara, M., Kitadate, A., Tagawa, H., Takahashi, N.
Organizer
The 64th ASH Annual Meeting and Exposition
Int'l Joint Research
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[Presentation] Hypoxia-inducible reactive oxygen species upregulate MAFB and HMOX1, leading to drug resistance in multiple myeloma.2022
Author(s)
Abe, K., Ikeda, S., Nara, M., Tagawa, H., Takahashi, N.
Organizer
第84回日本血液学会学術集会