2022 Fiscal Year Research-status Report
HBZ-宿主タンパク質結合のATL発がん機序における役割の解明
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22K16325
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
樋口 悠介 熊本大学, 病院, 助教 (80882141)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HTLV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
HBZ発現細胞におけるIL-10シグナル経路活性化の影響を調べるため、HBZトランスジェニック(HBZ-Tg)マウスとIL-10ノックアウト(IL-10 KO)マウスを交配し、表現型の観察を行った。当初、IL-10 KOマウスとHBZ-Tgマウスを交配することで、HBZ-Tgマウスにおける炎症が抑制されると考えたが、実際には腸炎の増悪や体重減少が見られた。この所見は、HBZがIL-10欠損による自己免疫性腸炎を増強することが示唆され、仮説とは異なる機序を検討する必要があると考えらえた。 細胞質内・核内におけるHBZ結合タンパク質の網羅的探索を行うため、ビオチンリガーゼ-HBZ融合タンパク質を発現するプラスミドを作成し、ビオチンリガーゼ付加HBZの安定発現細胞株を樹立した。また、Yeast two hybrid法によるスクリーニングにおいて同定されたJDP2について、免疫沈降においてHBZとJDP2が結合していることを確認した。更にJDP2についてはHBZトランスジェニックマウスやATLの症例においても発現が亢進していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HBZ-Tg/IL-10 KOマウスの表現型の解析により、HBZがIL-10欠損による炎症を増強することを示唆しており、これらの知見はATLの発症機序を知るうえで重要な知見になると考えられる。また、ビオチンリガーゼ付加HBZ安定発現細胞株を複数樹立しており、今後の解析につなげることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
近接依存性標識法によるHBZ結合タンパク質の網羅的探索を行うため、細胞株は樹立できており、今後、質量分析を用いてHBZ結合たんぱく質のスクリーニングを行う。また、同定したHBZ結合タンパク質のATL細胞における役割を解析するため、同定タンパク質の細胞内局在や同定遺伝子のノックダウンにおける細胞形質の変化について解析を行う。 JDP2についてはATL症例におけるJDP2発現亢進の意義を解析するため、細胞株におけるJDP2のノックダウンによる細胞形質の変化やJDP2ノックアウトマウスの作成、HBZ-Tgマウスとの交配による表現型の解析を行う。
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Causes of Carryover |
令和4年度に作成予定であったビオチン化酵素付加HBZ安定発現細胞株を複数の細胞株で樹立し、比較検討することとしたため、HBZ結合タンパク質同定のための質量分析など受託解析を次年度に複数の細胞株で同時に行う計画とした。
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Research Products
(2 results)