2022 Fiscal Year Research-status Report
腸内環境に基づいて抗悪性腫瘍剤の治療反応性を層別化する基盤的研究
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22K16336
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
柴 知史 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (00797003)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | がん / 抗悪性腫瘍剤 / 腸内環境 / 腸内細菌 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗悪性腫瘍剤による治療効果と有害事象の発現は、個人間の差異が大きく、治療効果を最大限とし、有害事象を最小限に抑える治療反応性の予測などの個別化医療及び精密医療(precision medicine)が、がん診療において喫緊の課題である。これまで研究代表者らは、国立がん研究センター中央病院を受診された患者に対して個別に同意を取得し、日本人の便検体と当該患者の臨床情報及び食生活などのアンケート調査の集積を行い、次世代シークエンサーを用いた腸内細菌叢メタゲノム解析並びに腸内代謝物質メタボローム解析の基盤を確立してきた。この研究基盤をもとに、がんにおける個別化治療の最適化にメタゲノム解析を応用することを目指し、一部の抗悪性腫瘍剤による副作用の発現が、特定の腸内細菌の存在によって軽減されることを明らかにした。こうした背景のもと、本研究では、腸内環境を微生物と宿主側の相互関係から検討するために、宿主側の情報、つまり患者の腸管に存在する免疫細胞のプロファイリングを行い、多角的な手法を用いて腸内環境を解析することによって、大腸がんの発症や進展の機構を解明する。さらに、本研究の成果を基盤として、抗悪性腫瘍剤の治療効果や副作用の発現と関連する腸内環境を同定し、個別化医療などの臨床応用へ展開することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究基盤にもとづいて本研究を進めているため、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にもとづいて、進捗を管理し、なるべく余裕を持って研究を進めていくことを今年度も続けていく。しかし、予期せぬ事態で研究の進捗が滞るようであれば、ボトルネックをきちんと整理して、必要であれば協力者を募り、問題点を解決しながら研究を進めていくことも検討している。
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Causes of Carryover |
本年度に収集してきた便サンプル等の各種サンプルについて、次年度以降に纏めてシークエンス解析等を行う予定である。その理由として、ある程度サンプルを纏めて解析を行うことで、単価当たりの費用を抑え、より多くのサンプルを解析することができるため、次年度以降へ当該助成金を使用することとした。
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