2022 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるCXCL13産生CD4陽性T細胞の役割と分化制御機構の解明
Project/Area Number |
22K16338
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
須賀 謙介 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40921408)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / CXCL13産生CD4+T細胞 / peripheral T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ患者の炎症関節の滑膜組織にはIL-21とCXCL13を産生するCXCR5陰性CD4陽性T細胞[peripheral helper T cell (Tph細胞)]が存在し、B細胞の形質細胞への分化と抗体産生を促進することで関節リウマチの病態形成に寄与していることが示唆されている。しかしマウスをはじめとする実験動物においてTph細胞が未同定なため機能解析が進んでおらず、Tph細胞の関節リウマチにおける役割の詳細は依然不明である。本研究では、1) マウス関節炎局所におけるIL-21産生CXCL13産生CD4陽性T細胞を同定し、関節炎病態における役割を明らかにすること、2) マウスIL-21産生CXCL13産生CD4陽性T細胞の分化誘導機構を解明すること、3) RA患者滑膜組織に存在するTph細胞のCXCL13産生を制御する方法を開発することを目的としている。今年度の実績として1)および2)に関連して関節炎自然発症マウスであるSKGマウスから採取したCD4陽性T細胞をT細胞の存在しないヌードマウスへ移入する移入関節炎モデルを用いて、罹患関節から2重細胞内染色法にてIL-21産生CXCL13産生CD4陽性T細胞の同定することを試みた。また、同細胞の細胞表面マーカーと転写因子の発現をフローサイトメトリーにて網羅的に解析することを試みた。3)に関連してRA患者滑膜組織の1細胞RNAシークエンスに関するdeposit data(Zhang et al. Nat Immunol. 2019)を解析し、ヒトTph細胞に特徴的な転写因子群を抽出し、上述のマウス関節炎モデルとの相同性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SKG移入関節炎モデルマウスの罹患関節から2重細胞内染色法にてIL-21産生CXCL13産生CD4陽性T細胞の同定することを試みた。罹患関節から単離したCD4陽性T細胞をin vitroにおいて培養、刺激したのちに、IL-21およびCXCL13産生を評価している。CXCL13産生に関しては適切な培養条件の検討が十分でなく、今後適切な培養条件の設定を探索していく。RA患者滑膜組織の1細胞RNAシークエンスに関するdeposit dataの解析を行い、ヒトTph細胞に特徴的な転写因子群を抽出した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) マウス関節炎局所におけるIL-21産生CXCL13産生CD4陽性T細胞の同定、関節炎病態における役割の解明、2) マウスIL-21産生CXCL13産生CD4陽性T細胞の分化誘導機構の解明、3) RA患者滑膜組織に存在するTph細胞のCXCL13産生を制御法の開発を目的に今年度も研究活動を続けていく。SKG移入関節炎モデルマウスの罹患関節におけるCD4陽性T細胞からのCXCL13分泌を評価する適切な培養条件の検討を行う。Tph細胞のマスター転写因子と想定された分子に関しては、CRISPR-Cas9法により遺伝子欠損マウスを作製し、コラーゲン誘発関節炎の実験系でその機能を評価する。
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Causes of Carryover |
研究計画に沿って実験活動を遂行していたが、in vitro実験の条件検討に予想より時間がかかった関係で次年度使用額が生じた。
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