2023 Fiscal Year Annual Research Report
強皮症に対するリツキシマブへの治療抵抗性に関与する自己応答性B細胞の単一細胞解析
Project/Area Number |
22K16340
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江畑 慧 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (80884569)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体リツキシマブを用いたB細胞除去療法による皮膚硬化や肺機能の改善の程度が大きかった全身性強皮症患者の群と、同じくリツキシマブでのB細胞除去療法を受けたが疾患改善の程度が相対的に小さかった全身性強皮症患者の群とに分けて、治療後も末梢血中に残存しており、なおかつ微小血管モデル内で血管内皮細胞と反応するB細胞のプロファイルについて解析した。後者の患者群では、前者の患者群に比べると「炎症性サイトカインであるIL-10を産生するB細胞」の「制御性サイトカインであるIL-6を産生するB細胞」に対する比の値が大きかった。 続いて、全身性強皮症のモデルマウスでは、微小血管モデル内で血管内皮細胞と反応する自己応答性B細胞のうち、IL-6産生性B細胞の占める比率がIL-10産生性B細胞の占める比率に対して大きいときに、皮膚や肺における線維化の程度が強く強皮症の病勢に影響していると考えられた。加えて、IL-6産生性B細胞の占める比率がIL-10産生性B細胞の占める比率に対して大きい場合には、B細胞除去療法によって得られる線維化改善効果が比較的乏しかった。 これらの研究成果により、自己応答性B細胞のプロファイルが、全身性強皮症の病勢の程度や治療反応性に影響している可能性が示唆された。炎症性サイトカインを産生するB細胞に特化してアプローチすることができれば、全身性強皮症に対してより有効な治療法を開発できるかもしれない。
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