2022 Fiscal Year Research-status Report
Apoptosis由来膜小胞に着目したCOVID-19重症化メカニズムの解明
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22K16344
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 保宏 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30837050)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COVID-19 / AdMVs / PPR |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の目的】本研究の目的は、SARS-CoV-2による炎症誘導メカニズムの解明である。特に、重症例における炎症の産生メカニズムと病態の解明を通じて、重症例への治療応用と重症化の早期バイオマーカーの同定を目指す。 【研究計画】令和4年度の研究計画ではCOVD-19患者血清の炎症性サイトカイン誘導分画を同定することを目指した。 1. レポーター細胞を用いてCOVID-19患者血清のPRRs刺激活性を確認する。これは血清中の炎症性サイトカインを誘導する因子を同定する前に、レポーター細胞を用いて、患者 血清がTLR2, TLR3, TLR4, TLR7, TLR9などのPRRsのうち、どのPRRを主に刺激するか同定することで誘導因子の推定に役立てることができる。 2. 患者血清のサイトカインプロファイルを確認する。血清のサイトカインはレポーター細胞やCytokine beads assay kitなどを用いて評価する。COVID-19患者のサイトカインプロファイルについては既に多くの報告があるが、多くはIFN-Iに関してはIFN-α2および IFN-βの測定しかされていない。これは市販の測定キットで信頼性のおける結果が得られるIFN-Iの種類が少ないためである。申請者のレポーター細胞を用いた測定系では IFNAR1-IFNAR2で構成されるレセプターへのシグナル活性を広く確認することが可能であり、サイトカインプロファイルに関しても新たな知見を得られることが期待できる。 3. さらにPRRs刺激活性が高い血清からAdMVsを分離し、AdMVs分画とnon-AdMVs分画の炎症誘導活性の比較を行う(ウイルス感染細胞では細胞死が誘導され、AdMVs分画にもウイルス由来成分が多く含まれる可能性がある)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レポーター細胞を用いてCOVID-19患者血清の炎症誘導活性を測定した。重症COVID-19患者血清では非重症例より強いinterferon sigunature genesの誘導活性が確認された。血清のAdMVsとnon-AdMVsの分画で炎症誘導活性を測定したところ、proininflammatory cytokinesとinterferon sigunature genesのいずれもnon-AdMVs分画で高いことが確認された。これは誘導活性が当初予想していたAdMVs分画よりもnon-AdMVs分画に存在していることを示唆し、解析対象をnon-AdMVs分画にfocusする意義が見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19重症患者血清の炎症誘導活性の中心がnon-AdMVs分画である可能性が示唆される。non-AdMVs分画の炎症誘導活性の原因となる物質の探索としてPAMPs、DAMPsとしてしられているcell free DNA、HMGB1、S-proteinなどの測定について検討し病態との関わりと解析していく。
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Causes of Carryover |
当教室が保有している既存のレポーター細胞を用いてサイトカイン活性の測定を行ったため物品費を計上しなかった。また、オンラインでの学会開催のため旅費も計上しなかった。次年度ではレポーター細胞での測定ができないサイトカイン、リガンドの測定を計画している。
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