2023 Fiscal Year Research-status Report
CD38を介したミトコンドリア是正に注目したSLEの新規メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K16345
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勝山 惠理 岡山大学, 保健学域, 准教授 (10911993)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 全身性エリテマトーデス / CD38 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス(SLE)は若い女性に多く発症し、様々な細胞が異常に活性化することにより全身の臓器障害を引き起こす自己免疫性疾患である。SLEではミトコンドリアをはじめとした細胞内の代謝をつかさどる小器官の機能が低下していると考え、本研究を行っている。今年度はSLEの患者検体の補酵素の測定、カルシウムシグナルの測定、細胞機能の評価を行っている。SLEでは健常者のCD4陽性T細胞に比べてCD38の発現が高いため、細胞内NADが低下していると考えられる。補酵素NADを健常人の末梢血単核球でまずELISAで測定したが、ベースラインのNADレベルが非常に低いため条件検討を行い、さらにフローサイトメトリーなどの別の方法で測定できるかどうかを検討する。 さらにSLE患者由来CD4陽性T細胞のCD38高発現群では健常者と比較して細胞内カルシウム流入が著しく高いことを確認できた。細胞内のカルシウム濃度は、T細胞受容体の下流であるPLCg1をリン酸化することで活性化し、イノシトール三リン酸を生成し、小胞体上のイノシトール三リン酸受容体に結合してカルシウムを放出させる。我々はCD38高発現群では特にSLE患者において、このPLCg1のリン酸化が著明に高まっている結果を得ている。これによりCD38高発現CD4陽性T細胞がSLE患者における細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こしていると考えられる。我々はさらに、カルシウム濃度上昇が引き起こす細胞機能への影響を、SLE患者と健常者で比較検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SLE患者検体は順調に保存できており、これを用いた実験を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
フローサイトメトリーの実験用の消耗品購入費を研究室で所持しているものを使用することで節約できた。令和6年度では引き続き新たな細胞機能評価を行うための実験試薬やフローサイトメトリーの使用費、学会参加費用に充てる予定である。
|
Causes of Carryover |
細胞機能評価(細胞内のカルシウム流入、ミトコンドリア機能、阻害剤によるCD4陽性T細胞機能回復実験)を次年度に引き続き行い、検体数を増やして最終結論を導く予定である。
|