2022 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティック調節によるT細胞制御に焦点をあてた免疫疾患の解明
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22K16349
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
荒川 裕也 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (30733175)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Phf2 / 遺伝子欠損マウス / アトピー性皮膚炎 / CD4 T細胞 / エピジェネティクス / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒストンH3K9脱メチル化酵素Phf2に着目した研究を行っている。この酵素の遺伝子をT細胞特異的に欠損させたマウスを作製し、脾臓よりCD4 T細胞を分離した。このPhf2欠損CD4 T細胞を用いて2日間活性化培養を行った結果、野生型CD4 T細胞と比較してTh2細胞より産生されるIL4 mRNA発現の減少およびTh1細胞より産生されるIFN-γ mRNA発現の増加が認められた。一方、Th17細胞より産生されるIL-17 mRNAおよび細胞死抑制因子であるBcl-2 mRNAの発現には変化がみられなかった。これらの結果よりPhf2の欠損は、Th1分化の促進およびTh2分化の抑制を誘導し、Th17分化には影響しないことが示唆され、また細胞死にも影響しないことが示された。これらの成果を元に、アレルギー疾患の病態におけるPhf2の役割を明らかにするため、アトピー性皮膚炎モデルマウスを作製し、アレルゲンに対するアレルギー免疫反応の比較解析を進めた。具体的には、剃毛したマウスにアレルゲンとして卵白アルブミン(OVA)を1週間経皮感作させた後、2週間おいて再度1週間感作させる。この操作を繰り返し、3回目の感作終了後、血漿中のOVA特異的IgE濃度を測定した。その結果、野生型マウスと比較してPhf2欠損マウスにおける血漿中OVA特異的IgE濃度の減少を確認した。これらの結果より、Phf2欠損はTh2分化を抑制することによって、アレルギー免疫反応を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はPhf2遺伝子欠損マウスの作製および培養実験を行った。また、免疫疾患マウスモデルとして実験的自己免疫性脳脊髄炎モデル(EAE)マウスおよびアトピー性皮膚炎モデルマウスの作製を行った。EAEマウスの作製は現在進行中である。アトピー性皮膚炎モデルマウスは、感作に使用する抗原量の決定を行い、Phf2遺伝子欠損による病態への影響解析を行った。進捗状況として、おおむね当初の実験計画通りに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、申請者の所属研究施設が変更したことから、動物実験を行うことができなくなった。そのため、計画していた実験内容を一部変更し、ヒトの臨床検体を用いた実験を行う。具体的には、まず、一卵性双生児ペアの白血球中RNA-seqデータより、Phf2遺伝子発現に関連して変動する遺伝子を明らかにする。また、一卵性双生児ペアのGWASデータより、Phf2遺伝子発現に影響するSNPを明らかにする。その後、自己免疫性甲状腺疾患(AITD)患者を病態ごとに分類し、Phf2遺伝子およびPhf2関連遺伝子の発現解析およびSNP解析によりPhf2のAITD病態への影響を明らかにする。
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