2023 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋MRIによる特発性炎症性筋疾患の予後予測への挑戦
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22K16365
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
浮地 太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30922687)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 皮膚筋炎 / 多発性筋炎 / 特発性炎症性筋疾患 / MRI / 筋炎特異的自己抗体 / 筋生検 / 筋病理 / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)特発性炎症性筋疾患(IIMs)の患者85例に対し、上腕または大腿の骨格筋MRIを実施した。56例に筋生検を実施し、炎症細胞浸潤の局在を評価した。MRI所見は水平断像において、高信号を呈する組織(筋膜、筋)および筋内での高信号のパターン(蜂巣状、霧状、密また粗な点状)を評価した。その結果、MRIでの筋膜の高信号、筋内の霧状パターン、筋内の蜂巣状パターンは、それぞれ生検組織における筋膜(OR 16.9, P<0.001)、筋内膜(OR 11.9, P<0.005)、筋周膜(OR 6.0, P<0.014)への炎症細胞浸潤と関連していることが判明した。 (2)筋炎特異的自己抗体(MSAs)および2017年EULAR/ACR分類基準を用いて、患者サブグループにおけるMRI所見の相違を解析したところ、蜂巣状パターンは抗TIF1-γ抗体または抗Mi-2抗体陽性患者とMSAs陰性皮膚筋炎患者、霧状パターンは抗SRP抗体または抗HMGCR抗体陽性患者とMSAs陰性多発性筋炎患者に特徴的であった。 (3)単変量および多変量解析を行ない、臨床的特徴に対するMRI所見のオッズ比(OR)を求めた。蜂巣状パターンは悪性腫瘍(OR 6.87, P<0.001)およびGottron徴候(OR 8.05, P<0.002)と、霧状パターンは筋力低下(OR 11.24,P<0.005)と正の相関を示した。密な点状パターンは嚥下障害(OR 6.27, P<0.006)および悪性腫瘍(OR 8.49, P<0.002)と関連していた。 以上の結果から、骨格筋MRIは、IIMsにおいて炎症細胞が浸潤している部位を予測するのに役立つことが示された。また、MSAsにより骨格筋MRI所見が異なることが示された。さらに、骨格筋MRI所見はIIMsの臨床症状のリスク評価に有用である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性腫瘍や急速進行性間質性肺炎の併発は患者の死亡に直接かかわる事象であるが、これら のうち悪性腫瘍を有する患者における特徴的なMRI所見が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では統計学的有意差は見出せていないが、抗MDA-5抗体陽性のグループでは骨格筋MRIで筋内に粗な点状パターンを認める傾向があった。今後は抗MDA-5抗体陽性例における骨格筋MRI所見の解析を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた免疫組織化学用試薬(抗体)を購入しなかったため、次年度使用額が生じた。今後免疫組織染色を行う試薬が不足した際に購入する予定である。
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