2022 Fiscal Year Research-status Report
唾液サンプルを用いた高感度新型コロナウイルス抗原検査の開発研究
Project/Area Number |
22K16379
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大城 聡 順天堂大学, 医学部, 助教 (80766379)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス / 抗原検査 / 唾液検体 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液は簡便に採取可能な臨床検体である。唾液検体を用いたSARS-CoV-2抗原検査は、鼻咽頭ぬぐい液検体と比較して陽性率が著しく低く、唾液中の成分が抗原抗体反応を抑制していることが示唆された。本研究では、唾液検体を用いたSARS-CoV-2抗原検査を開発することである。このために、唾液検体が現行の抗原検査を抑制する機序を明らかにし、この情報を基に金属コロイドProteinG粒子をエンハンサ ーとして抗原検査に搭載したSARS-CoV-2抗原検査を開発・臨床評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、抗原検査の標的抗原であるヌクレオカプシド(N)タンパク質の分解機序の解明を実施した。各種プロテアーゼ阻害剤を単独で唾液検体に添加するよりも、プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した方がNタンパク質の分解が抑制されることを確認した。このことから、唾液に含まれる複数のプロテアーゼによってNタンパク質は分解されていることが明らかとなった。これまでに作製した抗Nタンパク質抗体を用いたエピトープ解析によって、唾液分解されたNタンパク質(全長419アミノ酸)は、C末端側(210-419)がより多く蓄積していることを明らかにした。唾液検体を用いた抗原検査の標的抗原にはNタンパク質のC末端側が適していることを見出した。 新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザA及びBを同時に診断可能な抗原検査キットが体外診断用医薬品として承認され、販売を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は唾液検体用の抗原抽出液を最適化する。通常の唾液はpH6.8~7.5付近であり、粘性が高い。アルカリ性のTris緩衝液(pH8以上)や溶解試薬であるN-アセチルシステイン(NAC)及び水酸化ナトリウム (NaOH)、エタノールを様々な濃度で添加した唾液用抽出液を作製する。プロテアーゼ阻害剤の最適化も実施する。様々なサイズの金属コロイドを標識したProteinG粒子をエンハンサーとして用いた高感度な抗原検査を作製する。金属コロイドProteinGエンハンサーを従来の金コロイド標識IgGを組み合わせることで抗原検査の感度を向上させる。
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Causes of Carryover |
モノクローナル抗体を作製するために動物実験を前倒しで実施する予定であったが、最適な免疫抗原を準備できなかった。動物実験は次年度に実施する計画である。
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