2023 Fiscal Year Research-status Report
老化細胞に着目した新型コロナウイルス重症化メカニズムの解明
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22K16386
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
津島 博道 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90892208)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺組織 / 老化細胞 / 急性肺損傷 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新型コロナウイルスの重症化について細胞老化との関連を明らかにすることにある。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の重症化は高齢者で頻度が高く、その病態は急性肺損傷による呼吸不全を呈することが知られている。老化細胞は加齢とともに組織に蓄積し、様々な加齢性疾患の病態に関連することが知られている。本研究では、急性肺損傷における細胞老化の影響についてマウスモデルを用いて以下の2つの仮説を検証する。①老齢マウスより老化細胞を除去することにより急性肺損傷の増悪化を予防できる、②若齢マウスへの老化細胞の移植は急性肺損傷を増悪化させる、の2仮説を検証する。老齢マウスから老化細胞を除去するため、ABT-263を老齢マウスへ投与した。ABT-263は肺組織において、細胞老化マーカーであるInk4a, Arfの発現ならびにSA-b-gal活性を低下させることを確認した。さらに、マウスの肺組織から移植用の肺繊維芽細胞を単離した。移植細胞を生体内で確認するため、レトロウイルスを用いて肺繊維芽細胞に緑色蛍光タンパク質(GFP)発現を誘導させ、マウス肺組織へ移植した。移植後に解剖して肺組織切片を作製し、GFPの発現を確認したところ、移植した細胞は少なくとも24時間は肺組織内に生着することを確認した。現在、老化細胞除去もしくは移植したマウスに急性肺損傷を誘導し、病態との関連を解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の進捗状況は、当初の予定よりも遅れている。代表研究者の施設異動に伴い研究体制、研究環境、研究計画の再構築が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
異動に伴う研究環境の整備も整いつつあるため、前年度までに実施できなかった実験を進めるとともに、得られた成果をまとめていく予定である。実験内容は、老化細胞を除去もしくは移植したマウスに急性肺損傷を誘導し、肺組織の組織病理学的解析、肺機能測定、気管支肺胞洗浄液(BALF)の解析、炎症性サイトカインなどの定量を行い、急性肺損傷の重症化における老化細胞の影響を解析する。
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Causes of Carryover |
初年度に代表研究者の施設異動に伴い研究体制、研究環境の再構築が必要となったため、実験開始が遅れた。そのため、試薬や消耗品などの支出額が予定より少なくなり、予算の次年度の使用が生じた。研究計画最終年度に当たって、遅れを挽回すべく精力的に実験を進めて行く。試薬や消耗品費、学会参加の旅費、論文作成に必要な英文校閲などの支出を当初の計画に準じて使用する予定である。
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Research Products
(9 results)