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2023 Fiscal Year Research-status Report

Verification of DOHaD theory from the perspective of fatty acid metabolism in pancreatic beta cells and application to diabetes regenerative medicine

Research Project

Project/Area Number 22K16395
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

佐々木 周伍  大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60908185)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords膵β細胞 / iPS細胞 / 脂肪酸代謝 / 糖尿病 / DOHaD
Outline of Annual Research Achievements

マウスの胎生後期β細胞のシングルセル・トランスクリプトーム解析によって、分化早期β細胞がMlxiplをはじめとした脂肪酸合成関連遺伝子を高発現している時期があることを見出した。MlxiplはChREBPをコードする遺伝子であり、ChREBPは解糖系・脂質生合成系酵素遺伝子の発現を誘導する。このことから、β細胞分化が進むにつれ、ChREBPの発現上昇を中心とした脂質合成経路が活性化することが示唆された。
次に、ヒト細胞でのβ細胞分化・成熟過程における脂質代謝変化についてヒトiPS細胞を用いて検討した。ヒトiPS細胞由来β細胞においてもMLXIPLをはじめとした脂質合成関連遺伝子および脂肪滴形成遺伝子PLIN2の発現増加、さらに脂肪滴増加が観察された。以上から、マウスのみならずヒト細胞でも同様にβ細胞分化・成熟過程における脂質合成の重要性が明らかとなった。
ChREBPの働きを制御する因子の一つとしてPPARαが知られている。実際に、われわれのヒトiPS細胞由来β細胞分化の過程においても、β酸化関連遺伝子であるPPARαがMLXIPLに先駆けて発現し、その後β細胞の分化が進むにつれ、両者が入れ替わるようにPPARαは低下傾向、MLXIPLは著明な上昇を呈していた。そこで、PPARα作用の阻害を介したChREBP発現上昇を期待して、ヒトiPS細胞由来β細胞分化誘導プロトコールのうち、膵内分泌細胞分化ステップである分化15-22日にPPARαアンタゴニストGW6471を投与した。その結果、GW6471投与によりインスリン遺伝子の発現上昇、β細胞特異的な転写因子NKX6.1の発現上昇傾向およびMLXIPL, ACLY, SREBPF1等脂質合成関連遺伝子の発現上昇またはその傾向がみられた。以上より、PPARα作用の阻害によってiPS細胞由来β細胞分化誘導が高効率化する可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

安定的なヒトiPS細胞から膵β様細胞への分化誘導法を確立し、胎児の病態モデルとして、またβ細胞分化誘導効率の改善を目指すモデルとして使用している。まず、計画通り、マウスシングルセル解析データおよびヒトiPS細胞を用いた検討によって、マウスおよびヒト両者の膵β様細胞発生・成熟における脂肪酸代謝の重要性を示すことができた。次に、ヒトiPS由来膵β様細胞における定量的PCR、FACSや免疫染色のデータはすでに得られており、順調に進んでいる。さらに、妊娠糖尿病の胎児への影響を培養皿上での再現するため、炎症性サイトカイン、糖、脂質等を用いた実験を行った。その結果、培養液中の高糖濃度に比較し、炎症性サイトカイン添加が既報の妊娠糖尿病状態での胎仔β細胞の表現型により類似していることが明らかとなった。現在、ヒトiPS細胞由来β細胞分化誘導効率の改善を目指し、PPARα作用を代表にさまざまな小分子などを用いた脂質代謝経路への介入を行っている。

Strategy for Future Research Activity

ヒト膵β細胞発生・成熟過程における脂肪酸代謝動態を解明するため、最終代謝物を直接定量可能なリピドーム解析を行う。まず、野生型iPS細を用いて、in vitro 3次元培養でβ細胞まで分化誘導後、β細胞新生から成熟までの発生学的に段階的なサンプルを得る。各分化段階の細胞内容を抽出し、SFC-MSを使用してリピドーム解析を行い、細胞内脂質代謝物の経時的変化を明らかにする。以上により、将来の糖尿病細胞治療に向けた知識基盤を構築する。さらに、PPARαをはじめとした脂質代謝に重要な遺伝子をノックダウンさせた場合の脂質プロファイルや脂質代謝関連遺伝子の変化を解析し、これら脂質代謝関連因子のβ細胞分化・成熟における重要性を明らかにする。
脂肪酸代謝介入によるヒトiPS細胞からの膵β細胞分化誘導法の効率化を目指す。様々な分化誘導のタイミングでPPARαに作用する小分子を直接添加し、β細胞誘導効率を定量する。

Causes of Carryover

リピドーム解析等解析費用の一部には高額なものがあり、年度末をまたいだ後、サンプルが集まり次第解析を要するため、次年度使用額が生じた。次年度においては、引き続きiPS分化誘導、リピドーム解析、スクリーニング等に予算を使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] ダイレクトリプログラミングによるβ細胞分化誘導2024

    • Author(s)
      佐々木周伍
    • Organizer
      第58回糖尿病学の進歩
    • Invited
  • [Presentation] 糖尿病再生医療応用に向けたヒト膵 β 細胞成熟過程における脂肪酸代謝の重要性の解明2023

    • Author(s)
      今田 侑, 佐々木周伍, 奥野陽亮, 河盛 段, 片上直人, 下村伊一郎
    • Organizer
      第66回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [Presentation] 糖尿病再生医療応用に向けたヒト膵 β 細胞成熟過程における脂肪酸代謝の重要性の解明2023

    • Author(s)
      今田 侑, 佐々木周伍, 奥野陽亮, 河盛 段, 片上直人, 下村伊一郎
    • Organizer
      第96回日本内分泌学会学術総会
  • [Presentation] イメグリミンはメトホルミンと異なる作用機序によってβ細胞の分化・成熟を促進する2023

    • Author(s)
      今田侑,佐々木周伍,山口大旗,河盛段,片上直人,下村伊一郎
    • Organizer
      第34回分子糖尿病学シンポジウム

URL: 

Published: 2024-12-25  

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