2022 Fiscal Year Research-status Report
1型糖尿病と2型糖尿病に共通する膵β細胞脆弱性の規定因子の解明
Project/Area Number |
22K16419
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
武友 保憲 近畿大学, 医学部, 講師 (20580591)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 1型糖尿病 / 2型糖尿病 / インスリン分泌 / HLA |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病患者222例(急性発症141例、緩徐進行81例)を内因性インスリン分泌能(空腹時血清Cペプチド)により、保持群≧0.6ng/ml(n=39)、微少残存群0.02~0.6ng/ml(n=94)、枯渇群<0.02ng/ml(n=89)の3群に分け、各臨床指標、遺伝因子を比較検討した。1)3群間での各臨床指標の比較:発症年齢は保持群48.0±16.6歳、微少残存群43.1±16.8歳、枯渇群35.5±15.9歳で枯渇群は保持群(p<0.001)、微小残存群(p<0.05)より有意に若年であった。罹病期間は、保持群9.9±12.9年、微少残存群5.7±9.5年、枯渇群13.8±11.6年で、枯渇群が微小残存群(p<0.001)、保持群(p<0.05)より有意に長期間であった。BMIは、保持群22.0±3.2、微少残存群20.9±3.6、枯渇群22.2±4.2で、枯渇群が微小残存群より有意に高値であった(P<0.05)。(2)残存インスリン分泌能と遺伝因子との関連:同意を取得した207例において、空腹時血清Cぺプチドを目的変数、HLA疾患感受性ハプロタイプの遺伝子型(DR4/DR4, DR9/DR9, DR4/DR8, DR4/9, DR2)保有の有無、発症年齢、罹病期間、甲状腺自己免疫の有無、BMIを説明変数とし、重回帰分析をおこなったところ、DR4/DR9の保有(標準偏回帰係数-0.26、P<0.0121)と罹病期間(標準偏回帰係数-0.0104、P<0.0073)が有意な負の相関を示し、DR4/DR9を保有すること、または罹病期間が長いことが残存インスリン分泌能の低値に寄与する独立した規定因子であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回解析をおこなった1型糖尿病患者240症例に加え、当院では日々新規の1型糖尿病患者の診療を行い、臨床指標(性別、年齢、身長、体重、BMI、家族歴、罹病期間、発症年齢、成因分類、発症様式、診断時HbA1c、GAD抗体価、IA-2抗体価、ZnT8抗体価、抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体、TSHレセプター抗体、AITD合併の有無、空腹時血清Cぺプチド、1日インスリン使用量、合併症の有無:網膜症、腎症、神経障害、大血管障害、他の自己免疫疾患の合併の有無)に加え、遺伝因子として、現在候補遺伝子であるHLAクラスⅡ(DRB1、DQB1、DPB1)、HLAクラスⅠ(A、B、C)、INS、CTLA4、IL2RA、ERBB3、MAFA、SUMO4、PTPN22、CSAD、ITGB7、BTNL2、GLIS3などについて順次タイピングを行い、データベースを随時更新中であり、初年度の進捗状況として概ね順調に進行していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度における本研究の進捗状況は上述のように順調に進行しており、今後も新規の症例集積を継続する。また、申請者の研究室は1型糖尿病のみならず、2型糖尿病患者・健常者の遺伝子解析結果を保有している。そこで、マウス11番染色体における1型糖尿病、2型糖尿病(インスリン分泌能)、ストレプトゾトシン誘導糖尿病の発症に共通して関与する染色体領域に存在する候補遺伝子について1型糖尿病、2型糖尿病発症との関連解析に加え、候補遺伝子についてインスリン分泌能を目的変数とした重回帰分析をおこなう。
|
Research Products
(7 results)
-
-
[Journal Article] Glycemic Excursion and Insulin Action Revealed in a Rare Case of Type 1 Diabetes Complicated with Short Bowel Syndrome2023
Author(s)
Hiromine Y,Noso S,Babaya N,Taketomo Y,Niwano,Okuda Y,Yasutake S,Minohara T,Tsuda N,Hama Y,Ikegami H
-
Journal Title
Internal Medicine
Volume: 62
Pages: 1023-1029
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-