2022 Fiscal Year Research-status Report
無菌およびノトバイオートマウスを用いた腸内細菌叢による栄養吸収調節機構の解明
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22K16424
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 善之 富山大学, 学術研究部医学系, 病院特別助教 (30912331)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / Akkermansia.muciniphila |
Outline of Annual Research Achievements |
高脂肪食負荷マウスに対してAkkermansiaを増加させるポリフェノールXを投与すると、Akkermansiaの増加に伴い、抗肥満作用、耐糖能改善作用を示すことが明らかになった。さらに大腸でのムチン濃度が増加しており、腸管バリア機能関連蛋白であるClaudin-1の増加も確認され、腸管バリア機能が改善していることが確認できた。それに伴い肝臓では脂肪肝が改善し、内臓脂肪における慢性炎症の改善も認めた。便中の脂質排泄が亢進していることが分かり、その機序の一つとして小腸における脂質吸収トランスポーターCD36の発現が低下することによる脂質吸収の低下作用があることが明らかになった。これらの作用はポリフェノールXと同時に抗生剤を投与することで消失するためAkkermansiaを含めた腸内細菌による作用と考えられた。 Akkermansiaの詳細な作用を解析するため無菌マウスに対してAkkermansiaのみを移植するノトバイオートマウスモデルでの検討を行った。Akkermansia移植マウスではコントロール菌を移植したマウスと比較して耐糖能が改善し、小腸におけるCD36の発現が低下していた。血中のメタボローム解析を行うと、Akkermansia移植マウスでは無菌マウス、コントロール菌移植マウスに比べて血中の脂質プロファイルが改善していた。 これらの結果からAkkermansiaは既知の腸管バリア機能改善による宿主の代謝改善作用だけでなく、腸管での栄養吸収トランスポーターの制御を介した抗肥満作用、耐糖能改善作用を有する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Akkermansiaの無菌マウスへの移植実験と、解析は概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、無菌マウスに対するAkkermansia移植実験をさらに行い、Akkermansiaが宿主の代謝や栄養吸収に与える詳細なメカニズムの検討を進めていく
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Research Products
(3 results)