2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K16431
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
星山 綾子 北里大学, 医学部, 助教 (70728500)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 周産期 / 内分泌細胞 / β細胞 / α細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病の根治を可能とするためには、失われた膵β細胞機能を再現することが不可欠であり、その一つのアプローチとして膵β細胞再生医療が注目されている。その実現に向けた一つの手掛かりは、胎生期から成体に至るまでの膵臓の発生・分化過程を詳細に解析し、それを再現することにある。膵内分泌前駆細胞や膵β細胞の新生量を定量化するレポーターマウスを用いた解析では、胎生18.5日からその翌日の生後0.5日にかけて内分泌前駆細胞新生率・β細胞新生率が急激に減少することが報告されているが(Miyatsuka T et al. Diabetes 2014)、その背景にある分子メカニズムの詳細は未解明である。本研究では、周産期の膵臓内で起こるどのような環境の変化が内分泌細胞新生(内分泌前駆細胞新生、β細胞新生、α細胞新生)に影響を与えるのか明らかにする。 胎生18.5日のC57BL/6Jマウス胎仔および生後0.5日のマウス新生仔より膵臓を摘出し、パラフィン切片を作製した。抗Ki67抗体およびNeurog3抗体を用いた免疫組織染色を行うことにより内分泌前駆細胞の増殖率を定量化した。 膵α細胞新生を定量化することができるGcg-TimerマウスおよびGcg-CreER;mTmGマウスより胎仔膵を摘出し、flow cytometryを用いてα細胞新生率を定量化する実験系を至適化した。 今後上記実験系においてプロゲステロンを用いた過期産およびRU-486を用いた早期産を誘導することにより、出産時期の変化が膵内分泌細胞新生に及ぼす影響を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正期産マウスの新生仔膵を摘出し、当初の予定通り組織学的解析を進めている。α細胞新生を定量化する実験に関しては、flow cytometerを用いた実験条件の至適化に数ヶ月を要したが、最近では再現性のあるデータを得られるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
【過期産モデルマウスの組織学的検討】 妊娠15から17日目にかけてC57BL/6Jマウスにプロゲステロンを投与し、過期産を誘導する。①E19.5日の胎仔膵と②正期産で生まれた生後0.5日の新生仔膵(ともに受精後19.5日)より膵切片を作製し、Neurog3陽性細胞(=内分泌前駆細胞)およびSox9陽性細胞のKi67陽性率を定量化する。 【早期産モデルマウスの組織学的検討】妊娠17.5日のC57BL/6JマウスにRU-486を投与し、早期産を誘導する。早期産で出生したマウス(出生後0.5日)と胎生18.5日(ともに受精後18.5日)より膵切片を作製し、上記実験と同様に、Neurog3陽性細胞(=内分泌前駆細胞)およびSox9陽性細胞のKi67陽性率を定量化する。
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Causes of Carryover |
当初の予定より少ない維持費でマウスを飼育・繁殖することができた。2023年度はin vivo実験に多くの費用を必要とするため、「次年度使用額」に相当する金額をin vivo実験に使用する。
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