2023 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植患者に対する新型コロナウイルスワクチンの有効性の評価・投与間隔の検討
Project/Area Number |
22K16446
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
冨山 貴央 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80906339)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COVID-19 / 免疫抑制 / 臓器移植 / 肝移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症は世界的に猛威を奮っており、多数の死亡例が報告されている。特に免疫抑制剤を使用している臓器移植患者では感染後の死亡率は30%超とも報告されており、感染とその後の重症化を防ぐことが重要な課題となっている。新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンにより、感染者数と重症者数は減少した。しかし、免疫抑制剤使用患者におけるmRNAワクチンの効果は未だ不明である。免疫抑制患者においてはT細胞機能抑制によりワクチンの効果減弱が予想されている。そのため、我々は高いリスクを有する臓器移植患者・免疫抑制剤使用患者に対するワクチンの効果を適切に評価するため、本研究を創案した。変異を有しやすい本ウイルスにおける中和抗体の評価はELISA等による抗体価測定のみでは不十分であり、種々の変異ウイルスに対する中和抗体の作用を確認する質的評価が必要である。当院では北海道大学との共同研究にて、従来の疑似ウイルスモデルではなく、実際の様々な変異株を含む新型コロナウイルスを用いて抗体の質を中和抗体アッセイを用いて評価することに成功した。本研究の目的は臓器移植患者における新型コロナウイルスワクチンの効果を正確に評価し、適切なワクチン投与期間を検討することである。肝移植患者とコントロール群への2回目のワクチン接種後の抗体の量と質を比較すると質的にも量的にも肝移植患者では中和抗体が低下していることが分かった。しかし3回目の接種ではほぼ同等の抗体価、抗体の質を確保することができた。また、オミクロン株に対しては2回目の接種後ではコントロール群、肝移植群ともに十分な抗体価を得ることはできなかったが3回目の接種後は両群ともにオミクロン株への中和抗体を有した。本年度においては3回目接種後の方を対象に症例を追加して中和抗体アッセイの追加実験を行った。
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