2023 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌細胞の骨におけるDormancyの分子基盤解析と晩期再発への新規治療戦略開発
Project/Area Number |
22K16455
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
松永 有紀 公益財団法人がん研究会, NEXT-Gankenプログラム がん細胞社会成因解明プロジェクト, 客員研究員 (80911768)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ER陽性乳癌 / Dormancy / 3D model / single cell analysis |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに樹立した3D共培養モデルを用いてT47D細胞に間質細胞の培養上清を添加し、同様の増殖抑制が引き起こされることを確認した。次に、間質細胞の培養上清添加下の発現変化を評価するため、T47D細胞のbulk RNA-seq 解析を行った。Enrichment score解析でE2F target gene、ER response early, ER response lateの低下、Inflammatory response, Interferon alpha response, Interferon gamma responseの増加が見られた。増殖抑制は細胞周期停止状態によるものと示唆された。共培養液のサイトカインアレイ解析を施行し、14種類のサイトカインを同定後、各サイトカインの生理的濃度をプロテオーム解析により同定した。生理的条件下でT47Dの3D 培養を行い、増殖抑制効果を引き起こすサイトカインの同定を試みたが、単一サイトカインの添加では有意な増殖抑制は見られなかった。 間質細胞との共培養により細胞周期停止状態にある乳癌細胞の性質を、シングルセル解析技術を用いてさらに詳細に調べることで、quiescence, senescence, stem cell like, EMT likeな状態の入り混じるヘテロな細胞集団であることがわかった。また、3D共培養下の骨芽細胞、線維芽細胞についても複数のクラスターを形成し、それぞれ乳癌細胞の各クラスターと特徴的な相互作用を示した。 今回、新たに樹立した3D共培養モデルにより骨微小環境での乳癌細胞、間質細胞の多様性、相互作用特性を明らかにした。今後は、この3Dモデルを使用し、エストロゲン遮断やCDK4/6阻害剤などへの反応性評価を行い、晩期再発に寄与する乳癌・間質細胞集団の特定と、新たな治療アプローチの検証を試みる。
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