2022 Fiscal Year Research-status Report
肥満減量手術後の腸肝循環短絡化による肝発癌抑制効果の検討
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22K16457
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土屋 尭裕 東北大学, 大学病院, 助教 (30785621)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / SASP / 胆汁酸 / 腸肝循環 / 減量・代謝改善手術 / 十二指腸空腸バイパス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肥満と肝発癌の関連を腸内環境の変化と肝臓における細胞老化現象の観点から究明し、さらに減量・代謝改善手術によって胆汁酸動態をはじめとした腸内環境を改変させることでこれを抑制しうるかを検証することにある。当教室では食事誘発性の肥満NASHモデルラットを有しており、これに減量・代謝改善手術の一つである十二指腸空腸バイパスを施すことでNASHが改善すること、その効果に胆汁酸の腸肝循環の短絡化が関与していることをこれまでに報告してきた。また、近年では肥満に伴う肝発癌に腸内環境の変化と肝組織中の細胞老化現象による微小環境(Senescence-associated Secretory Phenotype (SASP))の関与が注目されている。本研究では上記モデルを用いて肝における細胞老化現象の多寡と腸内および血中胆汁酸量・分画を調べることで肝発癌抑制効果とそのメカニズムを探る。SDラットに当教室で開発した欧米食を模した餌(fast food diet)を与えることで食事誘発性の肥満NASHモデルラット(これはヒトにおける肥満関連発癌(肝細胞癌や大腸癌)リスク群のモデルと考えられる)を作製し、その自然経過における肝組織中のp16, p21といった細胞老化現象の指標やIL-6, IL-1βといった炎症性サイトカインを確認し、手術介入群におけるそれらと比較検討することで肥満に伴う肝発癌のメカニズムと、減量代謝改善手術によるその抑制効果を検証する。現在、モデルラットの作製と手術介入を行っており、順次サンプリングを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食事誘発性のNASHモデルラットの作製にはある程度の期間(12週間)を要し、手術介入後もさらに観察期間が必要となる。今回、学内の動物実験施設の再編に伴い動物の飼育開始時期が当初の想定よりもずれ込んだことで、現時点で想定した数のサンプルの採取には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
飼育開始時期が当初の予定よりもずれ込んだがモデルの作製自体は進んており、今後プロトコルに則り手術、犠死を行いサンプル採取を進めていく。肝組織の細胞老化現象の確認のほか、腸内と血中の胆汁酸量・分画を解析し、腸内環境の変化と肝発癌抑制という新たな知見を確認したい。
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Causes of Carryover |
購入予定物品の納入の遅れのため。次年度の物品(本実験に使用している特殊飼料を含む)、ラットの購入にあてる予定である。
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