2022 Fiscal Year Research-status Report
iHep樹立における分化転換および成熟肝細胞機能獲得の機序解明
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22K16461
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 勝太郎 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (80938621)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Direct conversion / iHep / Gene regulatory network |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の計画は、①マウスiHep樹立における6個の転写因子の機能解析、②薬剤誘導性に転写因子群を発現してiHepに分化転換するヒトiPS細胞株の樹立、の2点であった。 先ずは①についてであるが、既に同定した6個のコア転写因子候補(Hnf4a, Foxa3, Cebpa, Cebpd, Hnf6, Onecut2)について、1因子ずつ抜いて5因子で作製したiHep(6F-1F_iHep)を中心に、RNA-seqで遺伝子発現解析を実施した。クラスタリングでは2因子(Hnf4a+Foxa3)によるiHep(2F_iHep)と6因子によるiHep(6F-iHep)でクラスターがわかれており、DEG解析で6F_iHepの方が2F_iHepよりもCyp3a11やCps1など主要な成熟肝細胞マーカーの発現が高かった。解析によりHnf4aおよびFoxa3は間葉上皮転換・内胚葉分化に重要であることが確認された一方で、Hnf4a, Foxa3以外の残り4因子について、それぞれ6因子から抜いて作製したiHep(6F-1F_iHep)は、クラスタリングや主成分分析において6F_iHepと非常に近く、各4因子の役割の違いが明確にならなかった。そのため、各4因子について追加の解析を行っているところである。 続いて②についてであるが、レンチウイルスベクターにヒトの各転写因子を搭載してヒトiPS細胞に強制発現しようとしたが、入手した各転写因子のplasmidに問題があったため、作業が大幅に遅れ、ヒトiHep樹立のための転写因子を確定させるスクリーニングが実施できていない。現在トラブルは解決し、上記のスクリーニングを5月から開始するところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発現遺伝子解析において、Hnf4aとFoxa3の影響が大きいため、他の4因子の機能評価が予想より困難であったため、現在別の手法で解析を試みている。 また、ヒト細胞でのiHepの作製に最適な転写因子の組み合わせを確認するスクリーニングにおいて、結果的に入手したヒト転写因子を搭載するplasmidに予期せぬ変異が多数入っていたため、スクリーニングに用いるレンチウイルスベクターの作製にかなり手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスについては、各転写因子の機能評価のため、現在新たな解析を実施中である。 ヒトiPS細胞からのiHep作製に最適な転写因子の組み合わせを決定するスクリーニングを早急に開始し、決定したら既に入手しているpiggyBacベクターに搭載しヒトiPS細胞に導入して、薬剤誘導性に転写因子群を発現してiHepに分化するヒトiPS細胞株を樹立する。このpiggyBacベクターを導入するヒトiPS細胞株は、健常人および疾患株を用いる予定である。 ヒトiHep樹立に使用した転写因子群の機能評価とともに、ヒトiPS細胞由来iHepの肝細胞様細胞としての遺伝子発現および機能の評価を行う。そして、疾患患者由来iHepが疾患表現型を呈することを確認する。
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