2022 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化酵素DYRK2に着目した膵臓癌転移の機序解明と革新的治療法の開発
Project/Area Number |
22K16470
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
堀内 尭 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00838774)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | DYRK2 / EMT / アデノウィルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵臓癌においてDYRK2を介した転移・浸潤の分子生物学的メカニズムを明らかにすることであり、さらに膵臓癌に対する新たな革新的治療戦略の糸口を確立することである。 DYRK2 は、発現低下によって ①細胞周期の制御に必須な転写因子c-Junやc-Mycの蓄積を引き起こし細胞増殖が亢進すること、②転写因子KLF4発現を誘導し癌幹細胞の増加をもたらすこと、 ③上皮間葉転換(EMT)の転写因子Snail発現亢進によりEMTを誘導することが報告されており、膵臓癌の進行や転移・浸潤にも影響を与えている可能性が強く示唆されるが、そのメカニズムを検討した研究は少ない。また、DYRK2を過剰発現させた場合の膵臓癌の進展に関しても報告が少なく、申請者はDYRK2を過剰発現させることで膵臓癌のEMTや転移能を抑制すると仮説した。 今回我々は、ヒト膵臓癌細胞株においてDYRK2遺伝子に対するshRNAを用いてDYRK2をノックダウンさせ、Migration assayやInvasion assayを用いて評価を行う。また、Western blot法やRTPCR法を用いて以下に示すEMT関連蛋白(Snail, E-cadherin, Vimentin)や接着・浸潤に関する蛋白 (MMP-9, ICAM-1, VCAM-1)を評価する。DYRK2をノックダウンさせた膵臓癌細胞株の遺伝子変化を転移に関する遺伝子を中心にマイクロアレイで網羅的に解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに我々は、DYRK2発現アデノウィルスベクター(Ad-DYRK2)と、コンロールとしてkinase-dead型 変異体DYRK2発現アデノウィルスベクター(Ad-DYRK2-KR) を作成した。また、DYRK2発現アデノウィルスベクター(Ad-DYRK2)を膵癌細胞株に投与しDYRK2蛋白の発現を確認した。DYRK2発現アデノウィルスベクターを投与しEMT関連蛋白(Snail, E-cadherin, Vimentin)や接着・浸潤に関する蛋白 (MMP-9, ICAM-1, VCAM-1)を評価する。 次に、in vivoの実験のためにヒト膵臓癌細胞株をマウス脾臓に注射しマウス肝転移モデルを作成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに、膵癌細胞株へのDYRK2タンパクの強制発現を確認した。今後はDYRK2のEMTにおける分子学的役割を解明していく。また作成した動物モデルにベクターを投与し転移抑制効果を検討していく。
|
Causes of Carryover |
本年度実施予定であったshRNAによる転移増強能の評価を行わなかった。当該評価にかかる予定であった助成金額が次年度に使用する予定となる。
|