2022 Fiscal Year Research-status Report
リンパ管奇形の病態解明を目指した患者由来培養リンパ内皮細胞のオミックス解析
Project/Area Number |
22K16474
|
Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
臼井 秀仁 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (40720165)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | リンパ管奇形 / リンパ管奇形内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ管奇形(LM)は大小様々な嚢胞が集簇して腫瘤をなす疾患である。構成する嚢胞はリンパ管奇形リンパ内皮細胞(LM-LEC)に裏打ちされ、内部にはリンパ液が貯留する。LMの一般的治療法には内服療法,硬化療法,外科切除術などがあるが,病変の局在・病型・分布によって重篤な症状をきたし、治療に難渋する事が少なくない。 硬化療法の工夫による適応の拡大は継続し良好な結果を得ているが、依然として効果不十分または効果無効な症例が存在している。今年度は難治性LMに対するmTOR阻害薬の投与を5例で行った。有害事象は許容範囲であり、現在評価待ち段階である。 病態解明に関し、我々の報告した内腔消化法によるLM-LECは、分離段階で発現抗原による選別を受けていない唯一のLM-LECであり、未知の細胞を検証するに際して最も重要な条件を備えている。今年度、新たな症例細胞を追加獲得し、これらからもPIK3CA変異を同定した。またこれまでのLM-LECからRNAseqを行い、変異に伴いどのようなシグナル伝達が動いているかを調べ、現在解析中である。 また臨床でmTOR阻害薬を導入したような難治例に関しては手術での改善を期待しがたく、このためLM-LECの分離培養およびそこから得られる遺伝情報などの獲得が困難である。本来であれば最も解析を行いたい症例でのLM-LEC獲得困難への対策としてLM嚢胞内容液からの遺伝子解析に取り組みはじめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り若干の方針修正、および手段の変更は行っているが、各種内容は進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは症例の蓄積を引き続き行う。 既にmTOR阻害薬投与中の症例に関して時期をみて効果判定を行う。同時進行で嚢胞内容液からの遺伝子変異の検出の実用化を目指す。実用化が実現すれば、mTOR阻害薬の効果との相関性を調べる。相関性を認めれば、mTOR阻害薬導入基準の策定が可能か試みる。 LM-LECにおけるRNAseqの解析作業を進める。どのようなシグナルが動いているかが、今後の病態解明や治療法確立に寄与する可能性がある。
|
Causes of Carryover |
免疫不全マウスを使用した研究に関しては進捗しなかったため、今年度以降で進捗を目指す。
|