2022 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌におけるEB1とOATP1B3の分子病理学的関連性の解明
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22K16476
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相山 健 北海道大学, 大学病院, 医員 (50908176)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫染色 / ノックアウト細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床検体を用いた免疫染色(免染)は、ようやく倫理委員会の許可がおりたところである。現在数例の検体を用いてEB1とOATP1B3の免染の条件検討を行っている。免染のポジティブおよびネガティブコントロールとして細胞株のセルブロックを作製し条件検討に使用している。 細胞実験については、現在保有している肝癌細胞株(PLC/PRF/5、HLE、HLF、HuH-7、JHH4、KIM-1、KYN-2、Li-7)のCt-OATP1B3(Cancer-type OATP1B3)のmRNAの発現量を確認した。対照としてはCt-OATP1B3の発現が報告されている結腸癌細胞株であるHCT-116を用いた。また、先行研究で作成したHuH-7のEB1-KO(Knock Out)株とこれらにLentivirus vectorを用いてEB1を過剰発現させた細胞株と対照としてEmpty Lentivirus vectorを使用した株をそれぞれ用いて、同様にCt-OATP1B3のmRNA発現量を解析した。大部分の肝癌細胞株でCt-OATP1B3の発現が認められ、KYN-2は特に高発現であった。HuH-7のEB1KO株、EB1Overexpression株の検討ではHuH-7でのCt-OATP1B3発現量と比較し、EB1KO株では発現量の減少を認め、逆にEB1Overexpression株では発現量の増加を認めた。また、上記肝癌細胞株のOATP1B3のタンパクの発現量も確認した。 これらの結果からOATP1B3の発現量が比較的高い肝癌細胞株を選択し、CRISPR-Cas9によるOATP1B3-KO株を現在作製中である。しかし、OATP1B3が増殖能の関わっている影響なのか、KO用のCRISPR-Cas9を導入した細胞株の生存率が悪く、作製に難渋している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理委員会の許可が下りるまでかなりの時間を要したため、臨床検体を使用方する免疫染色の開始がかなり遅れている。また、OATP1B3のノックアウト細胞株の作製にかなり苦労している。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理委員会の許可がおりたので、数例の臨床検体を用いて免疫染色の条件検討を行っているところである。条件が決まったら、予定の臨床検体で免疫染色を行う予定である。免疫染色が終わったら、病理医とともに評価を行い、臨床病理学的因子および再発、予後との関連性を統計学的に確認する予定である。 OATP1B3ノックアウト細胞株の作製は、CRISPRの導入効率を良くしたり、シングルセルクローニングの前に行うFACSソーティングを工夫したりして、ようやく完成の兆しが見えてきているので、根気よく続けていく予定である。ノックアウト細胞株が作成できたら、OATP1B3を再発現させるためのレンチウィルスベクターを作製し、それをノックアウト細胞株に導入し、OATP1B3を再発現させる予定である。それが完成したら、予定通り細胞増殖能や遊走能、浸潤能の変化を確認する予定である。また、EB1との関連性についても評価する予定です。
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Causes of Carryover |
倫理委員会の承認が遅れ、今年度予定していた免疫染色が遅れたため。また、OATP1B3ノックアウト細胞株の作製にも遅れが生じており、それに伴いその先の実験が遅れているため。
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