2022 Fiscal Year Research-status Report
肝切除・肝移植におけるTEG6sを用いた周術期凝固管理の至適化
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22K16478
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松村 宗幸 東北大学, 大学病院, 助教 (60910784)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 凝固管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝移植レシピエントは肝不全状態であり、その凝固状態は複雑で、世界各国で盛んに研究が行われている。肝不全状態では、肝臓によって産生される凝固因子の欠乏により、一般的に凝固障害を呈する。肝移植術中においては、術中の出血により惹起される凝固障害、虚血再灌流障害からくる線溶系の亢進から大量出血を起こすことがある。近年、Thromboelastogram(TEG)という全血を用いた凝固検査が欧米にて頻用されており、患者の凝固状態の正確な把握、ひいては輸血量を減らすことが可能であると報告されてきている。TEGでは全血を用いて、凝固開始までの時間、血餅の形成速度、血餅の硬さ、線溶の速度などを定量的に30分以内にdynamicに測定できる。これらの指標を用いることにより、正確な介入を行い、患者の全身状態の改善を計ることができる。 昨年より当院における肝移植レシピエントを中心に測定を開始し、現在10例ほどの症例蓄積ができている。TEG6s導入前とTEG6s導入後で凝固管理の至適化を図っている。これまでは術後に大量の血液製剤の投与を行ってきた経緯があるが、TEG6sを用いることにより、現在の患者体内での血液凝固状態を検討することができ、止血リスクを定量化できるのではないかと考えている。その結果、血液製剤投与量の著明な減少が得られている。これからの2年間でさらなる症例蓄積を行い、本邦の肝移植における凝固管理の成果報告を行おうと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例数を蓄積できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、肝移植患者に対して症例数を蓄積中。来年をめどに解析をかけ、全国学会、国際誌へ発表予定である。
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Causes of Carryover |
最終的な解析、発表を来年に行うため。
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