2022 Fiscal Year Research-status Report
IMCによる食道癌NAC後TLSの成熟機序と臨床的意義の解明
Project/Area Number |
22K16490
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岐部 晋 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00910605)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 3次リンパ組織 / 腫瘍免疫微小環境 / 食道扁平上皮癌 / イメージングマスサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍免疫微小環境には高度な不均一性が存在し治療抵抗性に関与している。近年、腫瘍局所には二次リンパ組織と類似した構造を有する3次リンパ組織 (Tertiary Lymphoid Structure; TLS)と呼ばれる異所性リンパ組織が存在することが明らかになっており免疫療法の有効性と相関していることが知られているがその詳細な役割などは未だ不明である。また、化学療法に伴いTLSが増加することが報告されているがその臨床的な意義も不明である。今回、TLSの位置情報も含めた解析を行うためにイメージングマスサイトメトリー(imaging mass cytometry; IMC)を用いて食道扁平上皮癌のNAC施行群/未施行群のTLSに着目することで、TLSの成熟・凝集機序を中心とした免疫微小環境の詳細な解析とその臨床的意義や抗腫瘍免疫における機能的な役割を明らかにすることを目的として開始された。 まず、食道扁平上皮癌におけるTLSの局在や予後との相関を評価するために切除切片を用いてH&E染色・抗CD20抗体を用いた免疫組織化学染色を行った。TLSは腫瘍内にはほぼ存在しておらず腫瘍辺縁に沿って多く存在している印象であった。予後との相関を評価したところ、無再発生存期間・全生存期間ともに、TLSを有する症例では有意に予後が延長していた。また、多変量解析ではTLSの存在は独立した予後良好因子であった。このことから、食道扁平上皮癌におけるTLSは良好な予後因子であり抗腫瘍免疫の亢進に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食道扁平上皮癌におけるTLSの実際の局在を評価でき、腫瘍辺縁部に多いことが明らかになった。さらに独立した予後良好因子であり、TLSの抗腫瘍免疫を増強させていることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
食道扁平上皮癌症例をNAC施行/未施行群に分け、TLSの成熟度・局在・個数などに違いがないかを検討する。 さらに、これらの検体のうち、TLSの成熟度とNAC施行群/未施行群とを組み合わせてサンプルを選択しIMCを行う。 これらの解析で得られたTLS成熟に寄与する因子に注目し、当研究室で樹立したhumanized PDXモデルを用いてTLS形成の機序や腫瘍免疫微小環境の変化などに着目し解析を進める。
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Causes of Carryover |
研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。 次年度は抗体などの研究用試薬、器材、受託解析等に使用予定である。
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