2022 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌に対するがん免疫療法における革新的治療予測バイオマーカーの探索
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22K16491
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
清住 雄希 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (30827324)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸癌 / MSI-H / 癌免疫療法 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌における治療効果バイオマーカー探索のため、まず大腸癌症例979例の臨床病理学的因子を調査した。StageIV症例198例を含む手術療法、化学療法症例の予後を解析し、免疫染色を行うためのサンプルづくりを実施した。本研究において解析する因子についてもこの時点で整理した。 まず、免疫学的背景を分類するため、以前の研究より当科で行っているCD3、CD4、CD8、FOXP3の免疫染色を行い、ハイブリッドセルカウンター、BZ-Xを用いて陽性リンパ球数のカウントを行った。こちらは腫瘍先進部3視野のリンパ球数の平均値を算出する方法で、データごとの差異が最小限にとどまるよう工夫し、これまでも同様の手法を用いて報告している。腫瘍浸潤リンパ球数と予後の関連性を解析すると、CD3、CD8、FOXP3低発現群で有意に予後が不良であるという結果が得られ、一方でCD4陽性リンパ球においては有意差を認めなかった。これらの解析と並行して、大腸癌肝転移症例181例を抽出しており、現在DNA抽出、real-time PCR、免疫染色などの実験準備を進めている。 次に、本研究の中核的解析であるMSI-H症例の探索を行った。大腸癌組織の凍結標本よりDNAを抽出し、ベセスダ分類に則ってBAT25、BAT26というMSIのマーカーを用いたPCRを行い、DNAシークエンサーで解析を実施した。Microsatelliteの反復回数に変化がある症例をMSI症例、変化がない症例をMSS症例とし、256例の解析を行った。256例中、MSI-Hの結果を得たものは30例(11.7%)であり、過去の報告に合致する結果が得られた。現在、本研究結果に基づき、MSI-H群 vs MSS群に分類し、臨床病理学的特徴の解析、前述の腫瘍浸潤リンパ球数との関連性について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、900例以上の大腸癌症例を集積し、臨床病理学的背景の解析を実施していること、当該症例の免疫学的特徴を解析できていること、MSI測定が順調に進んでおり、既に解析を行うことができる段階に進んでいることから、概ね当初の研究計画通りに進んでいると判断している。また、大腸癌肝転移症例についても解析可能なサンプルが十分に集積できており、これらの症例を含めた網羅的な検討も既に開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はこれまで概ね計画通りに進んでおり、今後はIDO1発現のPCR法による解析、細胞株における発現、共培養実験、また質量分析器を用いた解析などに進む予定である。更にPyrosequencingを用いて大腸癌におけるIDO1promotor領域におけるメチル化を測定し、Epigeneticな制御を受けていることを確認することができれば、化学療法中の腫瘍免疫学的変化との関連性を評価する因子の同定につながることが予測されるため、引き続き実験を進めていく。 腫瘍浸潤リンパ球については二重免疫染色、蛍光イメージングソフトを用いた解析で、大腸癌内における免疫関連因子の因果関係を明らかにする。 上記のin vitroの結果が確立すればモデルマウスを用いてIDO1に重要なTrp-Kyn-Ahr経路のt代謝産物を測定し、腫瘍増殖や腫瘍環境との因果関係についてin vivoで確認することが可能である。 並行して、共同研究先のHigh Volume Centerであるがん研究会有明病院に蓄積された大量の臨床データでValidationを行い、実験結果が実臨床に沿った研究結果であることを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
理由:医局内保管の試薬、消耗品を使用することができたため。 使用計画:主に実験試薬、消耗品の購入に充てたいと考える。
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