2023 Fiscal Year Annual Research Report
肝内胆管癌治療戦略樹立を目指した亜分類ならびに背景因子を踏まえた腫瘍微小環境解析
Project/Area Number |
22K16495
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
木下 正彦 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (30896303)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝内胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝内胆管癌(ICC)における各亜分類の腫瘍微小環境解析を行った。特に、癌免疫に関与するとされる分子を中心に検討すべく、腫瘍および腫瘍浸潤細胞におけるPD-1、PD-L1、CTLA-4、CD8の発現を評価した。加えて、抗原提示細胞である樹状細胞(DC)の腫瘍への浸潤を評価すべくS100蛋白を用いた免疫染色を追加した。 結果、各亜分類(small duct型とlarge duct型)におけるPD-1、PD-L1、CTL-4の発現に差は認められなかった一方で、胆管炎を併発している症例が多いためかCD8陽性細胞がlarge duct型で有意に多く認められた。さらに、腫瘍微小環境におけるDC浸潤についてはsmall duct型で有意に多く認められた。Small duct型をDC高浸潤群と低浸潤群に分類し、両者における他分子発現状況を評価したところ、高浸潤群でPD-1、PD-L1、CTLA-4、CD8陽性細胞は有意に多かった。 これらの結果から、ICCにおいて、small duct型の一部に抗原提示細胞であるDCが強く浸潤する一群が存在(同様の定義を満たす症例はlarge duct型58例中1例のみ)し、これをもとにした宿主の抗腫瘍免疫を回避するべく、PD-1に代表される免疫疲弊分子を腫瘍が発現し、いわゆる癌免疫編集が生じていることが示唆された。免疫チェックポイント阻害薬が一律に保険収載されているICCにおいて、その効果に寄与しうる分子の発現が亜分類により異なる特徴を有することが明らかとなった。
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