2023 Fiscal Year Research-status Report
膵癌間質の再構築による腫瘍免疫賦活化を標的とした革新的膵癌免疫治療の開発
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22K16503
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 亨悦 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30912711)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵癌 / 癌微小環境 / 癌関連線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の手術検体より、CAFの初代培養を行い、5例からCAFを樹立した。CAFのマーカーである、FAPはいずれも発現しており、また、癌細胞のマーカーである、サイトケラチン19の発現は認めず。初代培養した細胞がCAFであることを確認した。CAFの成長が遅いことから、CAFの不死化を行うことにし、現在SV40の遺伝子導入を行い、不死化したCAFを樹立した。 CAFと膵癌細胞(AsPC1)のマウスへの共移植モデルを作成するために、予備実験として、PSCと膵癌細胞の移植する比率の評価を行った。膵癌とPSCの移植する細胞の割合10:0,1:1, 1:9でマウスの膵臓に移植し、その腫瘍増殖を比較した。膵癌細胞のみ移植した腫瘍と比較し、1:1、1:9で移植した腫瘍は増殖が抑制されていた。これは、PSCが腫瘍増殖を抑制的に働くことを示唆していると思われた。時に1:1で移植した腫瘍と膵癌細胞のみ移植した腫瘍の差が大きいことから、今後の実験では1:1で共移植する方針とした。 AsPC1とPSCを1:1, 10:0の割合で移植し、腫瘍の増殖を比較すると、予備実験と同様に共移植した腫瘍で、腫瘍増殖の抑制効果が認めらられた。これは、PSCが腫瘍の増殖を抑制する働きを持つものと考えられ、myCAFの性質を持っていると思われた。膵癌細胞のみを移植した組織と共移植した腫瘍の間の介在するメカニズムを評価するために、腫瘍をRNA-seqに提出し、解析すると、SMAD3関連の遺伝子が共移植モデルで優位に発現していた。 次に、vitroでSMAD3の発現を評価した。AsPC1の分泌物を含むcondition mediumをPSCに添加すると、予想通りSMAD3が活性化した。一方で、PSCの分泌物をAsPC1に添加しても、SMAD3は活性化されず、腫瘍内のSMAD3活性化は、PSCの変化に依存するものと予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年度で研究は終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
セカンドモデルでの検証。膵癌細胞株のMiapaca2を用いて、マウスにPSCを共移植し、腫瘍の増殖について、評価を行なっている。 PSCのSMAD3の下流の遺伝子変化を評価するために、AsPC1のcondition mediumをPSCに添加したサンプルを用いて、RNA-seqを行う。 PSCのSMAD3の発現と予後の相関を評価するために、手術検体を用いて、pSMAD3の免疫染色を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた、免疫染色を次年度に行う方針となったため。
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