2022 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患におけるEMAST陽性大腸癌の発生機序の解明と新規標的因子の検索
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22K16509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宗方 幸二 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (70621043)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / Colitic cancer / EMAST |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患を背景としたcolitic cancerの新たな治療アプローチの創出を目差し、われわれはマイクロサテライト不安定性の一つであるelevated microsatellite alterations at selected tetranucleotide repeats (EMAST)に着目した。従って、EMASTを検出する実験系の確実性が本研究の最も大切な「根幹」部分となる。EMASTの発現は、通常の大腸癌においては悪性度や治療抵抗性に関連し、予後因子となることをわれわれや共同研究グループを中心に報告してきており、癌部および非癌部での実験系は比較的安定的に行うことが可能である。一方で、炎症性腸疾患組織から抽出したDNAからEMASTを安定的に検出する実験系の確立は容易ではないことが予想される。従ってEMAST発現の実験系を確実なものとすべく、まずは癌部での実験系で確認する事とした。共同研究機関(米国)でEMAST発現の実験がなされている大腸癌症例合計14例のDNAを用いて、われわれの施設で共同研究機関(米国)と同様なMultiplex PCR法を用いて実験を行った。EMASTの発現を認めた症例は4例(28.6%)であった。この結果は共同研究機関(米国)で行った結果と一致しており、癌部および非癌部におけるEMAST実験系の確からしさを示す事ができた。さらに現在、免疫染色を用いてDNAミスマッチ修復遺伝子であるMSH3が細胞の核内から細胞質へ可逆性に移動することを確認しているところである。また同時進行で、われわれの関連教室である炎症性腸疾患治療学と連携し、colitic cancerのDNAを抽出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EMAST実験系の確認のための実験系を行うのに当初計画していたよりも時間を要してしまった。 また、免疫染色の条件設定や使用する適切な抗体の選定に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
次のステップとして下記を計画している。 1.炎症性腸疾患由来のcolitic cancerにおけるEMAST実験に着手する。 2.colitic cancerの症例数が少ない事が予想されるため、関連施設にも協力頂き症例数を実験に耐えられる十分な数を集めるよう働きかける。 3.自施設のみでの実験にこだわらず共同研究機関(米国)とも連携し進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度では今年度にも増して実験回数が増える予定であり、すべて実験に関する物品費として使用する計画である。
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