2023 Fiscal Year Research-status Report
トリフルリジン耐性大腸がんに対しアポトーシス関連因子をターゲットとした治療開発
Project/Area Number |
22K16516
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
前田 祐三 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10770258)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トリフルリジン / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
トリフルリジン(FTD)は治癒切除不能な進行・再発大腸癌に対する内服抗癌剤であるが、長期投与による耐性獲得が問題となっている。我々はこれまでに、大腸癌の進行に伴い、抗アポトーシス蛋白であるBcl-xLとMcl-1の発現が増強することを発見した。さらに、5-FU耐性の大腸癌、細胞株では非耐性株と比較してBcl-xLとMcl-1の発現が増強していることも明らかとした。本研究では、FTD耐性大腸癌の臨床検体および抗アポトーシス関連因子を同定し、これらを標的とすることでFTDに対する耐性が解除される事を目的とする。 現在FTD耐性大腸癌細胞を用いた研究に先立ち、まずは通常の大腸癌細胞株、5-FU耐性大腸癌細胞株における抗アポトーシス蛋白の機能解析を行っている。具体的には大腸癌細胞株の抗アポトーシス蛋白をsiRNAや特異的阻害剤を用いて阻害を行い、大腸癌細胞株の増殖、アポトーシス、5FU感受性、FTD感受性に及ぼす影響を検討した。現時点では、大腸癌細胞においてMcl-、Bcl-xLともにアポトーシス制御に重要な役割を果たしているが、特にBcl-xLは単独で細胞の増殖やアポトーシスに強く影響を及ぼすという結果が得られている。Mcl-1に関しては単独での細胞増殖抑制、アポトーシス誘導効果は認めないが5FU投与時のアポトーシス誘導増強効果やBcl-xLと同時阻害をした際の強い細胞増殖抑制効果を認めている。 FTDの感受性に及ぼす影響に関して、まずはMcl-1を阻害した際のFTD感受性変化について検討を行ったが、現時点ではMcl-阻害によるFTD感受性の変化は確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
FTD耐性大腸癌の臨床検体および細胞株の獲得に時間を要している。 抗アポトーシス関連因子の同定に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
FTD耐性大腸癌の臨床検体および細胞株を用いて抗アポトーシス関連因子の同定を行う。具体的にはBcl-2ファミリー蛋白の発現変化を想定している。これらを標的することでFTDの耐性が解除されることを示す。
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Causes of Carryover |
前年度で購入した物品を用いて実験を行ったため今年度は交付決定額と執行額に差異が発生した。未使用分に関しては今後の研究に生かすために次年度に持ち越すことにした。
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