2023 Fiscal Year Research-status Report
Changes in the intestinal environment caused by bariatric surgery inhibit the development of colorectal cancer.
Project/Area Number |
22K16527
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市川 英孝 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70912830)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 大腸癌 / 肥満 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】食事による肥満が大腸癌を誘導する機序を解明する。 【方法】1.肥満ラットの作成: 5週齢の雄性のSprague-Dawley (SD) ラットに通常食 (Normal diet:ND) とファストフード食 (Fast food diet:FFD) を与えて飼育した。FFDとは、欧米風の食事を模した高脂肪かつ清涼飲料水などに豊富に含まれるフルクトースを多く含む食事である。2.細胞老化の解析:ND群ラットとFFD群ラットをそれぞれ28週、および52週飼育してから犠死した。犠死時には、ラットの肝臓・小腸・大腸を採集し凍結保存した。犠死したラットから採取した小腸をトライツ靭帯からバウヒン弁までproximal、intermediate、distalの3部位にわけ、それぞれ細胞老化の特徴とされる遺伝子発現の変化をRT-PCT、Western blotにて解析する。 【結果】1、ND群のラット (n = 12) とFFD群のラット (n = 38) の体重推移を比較すると、飼育開始5週目以降は有意差をもってFFD群のラットの体重が増加したことが示された。2、28週目で犠死したND群のラット (n = 3) とFFD群のラット (n = 3) から摘出した小腸を用いてRT-PCRを行った結果、IL-1βの発現量についてはproximalでは有意差が生じず (p > 0.05)、intermediateではFFD群の方が多く (p = 0.01)、distalでもFFD群の方が有意に多いという結果になった (p = 0.04)。p21の発現量についてはproximalでFFD群の方が有意に多く (p = 0.007)、intermediateでもFFD群の方が有意に多く (p = 0.002)、distalでもFFD群の方が有意に多いという結果になった (p = 0.0002)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満モデルラットを用いた研究は予定通り進んでいる。今後保存してあるサンプルを用いて解析を行う。また以下に述べるAPCマウスを用いた発癌実験も新たに進める予定とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
①各群の腸内細菌叢の解析:ND群、FFD群 から採取した便を、16S rRNA細菌叢解析を用いて解析し、含まれている腸内細菌叢の種類や多様性を明らかにする。 ②細胞老化の解析:現時点では小腸の限られた遺伝子に対してのみPCRを行った。今後は小腸以外にも大腸でも実験を行い、RT-PCRではp16、IL-6、LaminB1など今回は行っていない遺伝子に対しても発現量の解析を行う。また、Western blotを行い、IL-6、IL-1β、LaminB1、p16、p21、RB、p53タンパクの解析を行う。また、小腸、大腸の組織を用いてHE染色、免疫染色にて細胞老化を確認する。 ③マウスの大腸癌発癌モデルを用いた実験:SDラットは通常の飼育条件下では小腸腫瘍および大腸腫瘍の発生が極めて稀である。したがって、小腸腫瘍・大腸腫瘍の発癌モデルであるAPCノックアウトマウスにND、高脂肪食 (High fat diet : HFD)、FFDをそれぞれ与えて、12週目に犠死を行う。採取した小腸および大腸を調べ、餌が発癌に及ぼす影響 (腫瘍数の変化や腫瘍サイズの変化) 解析する。また、採取した腸管腫瘍の病理像を確認し、腫瘍の異形度に差が出るのかも確認する。
|
Causes of Carryover |
APCマウスを用いた発癌実験を次年度に繰り越したため、次年度使用額が生じた。
|