2022 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍反応性レジデントメモリーT細胞の誘導とその抗腫瘍効果
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22K16531
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
渡部 晃大 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40866034)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NKT細胞 / 樹状細胞ワクチン / 食道癌 / 電気穿孔法 / ワクチンベクター / 組織滞在型メモリー細胞 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
メモリーCD8+T 細胞サブセットである腫瘍内レジデントメモリーT 細胞(Tissue resident memory T cell; TRM)はICI 応答の中心と考えられているが、その誘導については不明である。我々は腫瘍抗原情報を導入した、Natural killer T 細胞(NKT 細胞)活性化ワクチンベクターを開発し、このワクチンベクターの投与で、マウス表皮に抗原特異的なTRM 細胞が誘導されることを見出した。本研究の目的は①我々が開発したワクチンベクターを投与すると腫瘍内にTRM細胞が誘導されるのか、②誘導されたTRM 細胞は有効な抗腫瘍効果を持つのかを明らかにする事である。手術や検査で得られた腫瘍抗原情報を生かし、新たな癌治療の開発を将来の目標としている。また、ヒトでの指標としてNKT細胞が機能しており、TRMの誘導に貢献していることをしめすことにより、TRMの分化メカニズムの解明に迫りたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究 1. TCL-EP-DC/Gal 治療(腫瘍細胞ライセートを用いたNKT細胞活性化ワクチン)のち両モデルの開発 食道癌誘発マウスモデルにおける腫瘍内 TRM 細胞の誘導食道癌誘発マウスモデルである、14-ニトロキノリン1-オキシドを C57BL/6 マウスに経口投与し、mEC25細胞株樹立を行い、腫瘍溶解物を作成を予定している。現在は、4-NQO経口投与を行い、発癌と細胞株樹立を検討している。 研究 2. TCL-EP-DC/Gal による腫瘍内 TRM 細胞の動態の解析 TCL-EP-DC/Gal で治療を行ったモデルを基盤として腫瘍浸潤リンパ球の動態解析を行う。治療後の腫瘍内 TRM 細胞の TCR レパトア解析を行い、もともと腫瘍内に存在した T 細胞由来なのか、TCL-EP-DC/Gal の治療によって、外部から流入してきたものなのかを確認する。 また、FTY720 の投与(リンパ球遊走阻害作用をもつ薬剤)で、外部からリンパ球が可及的に流入しない状況を作成し、腫瘍浸潤 TRM 細胞を解析する予定である。これらの研究1.2に関しては、現在、モデル作成中である。 研究 3. 術前化学療法を施行したヒト食道癌検体における腫瘍内 TRM 細胞と NKT 細胞の解析を行う。術前化学療法後、食道切除術を行った患者の術後検体を用いて、深層学習アルゴリズムを用いた病理診断を行う。腫瘍内 TRM 細胞、NKT 細胞の評価を行う。多重免疫染色の方法は既に確立しており、これを用いて腫瘍内 TRM 細胞と NKT 細胞の数や局在、TRM 細胞と NKT 細胞の腫瘍内での距離等を測定し、術前化学療法の治療効果との相関を評価している。コホートの選択と染色はほぼ終了している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍治療モデルに作成にやや難渋しており、安定して発癌させ細胞株を作成することが困難である。このため、既存のマウス細胞株の同所性モデルに変更するか、他癌腫(卵巣癌や大腸癌)の自然発生モデルを検討している。病理組織標本においては、病変の定量的な評価は非常に重要である。項目が増加し、評価を正確に行うためには、やはり客観的な定量性が必要と考えている。この問題に対処するため、自動解析ソフトの導入(Qu-path)を行う予定である。また、免疫染色の条件設定はほとんど終了しているため、こちらにより速度を上げる方向で検討する。
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