2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K16544
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中本 修司 北里大学, 医学部, 助教 (70648782)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肝再生 / 血管新生 / 神経ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓は再生能力の極めて高い臓器であり、肝障害時には肝細胞を分化・増殖させることで肝内の恒常性を維持する。しかしながら、肝細胞以外の肝血管系の再生メカニズムについては不明な点が多い。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP, calcitonin gene-related peptide)は痛み刺激や炎症によって知覚神経より分泌される神経ペプチドである。これまでに我々はCGRPがマクロファージにおけるCGRP受容体のサブユニットである受容体活性調節タンパク質1(RAMP1, receptor activity modifying protein 1)を介して血管新生を増強して創傷治癒を促進することを見いだした。そこで本研究では、RAMP1シグナルを介した肝切除後の肝再生メカニズムを解明することを目的とした。野生型マウス(WTマウス)および遺伝子改変動物であるRAMP1欠損マウス(RAMP1-/-マウス)を用いて70%肝切除モデルを作製し実験を行った。肝切除後の肝重量・体重比(%)を調べたところ、術後5-7日目においてRAMP1-/-マウスはWTマウスよりも有意に低値を示し、肝再生の遅延を認めた。RAMP1シグナルは肝再生に重要な役割を果たしていることが分かった。そこで、CGRPの発現を免疫組織学的に検討した。その結果、CGRP陽性神経線維が門脈ならびに胆管周囲に分布していることが分かった。またRAMP1は常在性マクロファージであるクッパー細胞に発現した。さらにRAMP1の肝臓内発現は術後5日目と7日目に増加した。以上の結果から肝部分切除後の肝再生においてはRAMP1シグナルが関与する可能性が示唆された。結果から肝部分切除後の肝再生においてはRAMP1シグナルが関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。マウス肝部分切除モデルを用いて、RAMP1シグナルが肝再生に関与することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画に沿って、本研究を進めていく。RAMP1シグナルが血管新生を増強させて肝再生を促進することを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
細胞培養実験の段取りに時間がかかり、これに関連する消耗品を購入することができなかったことから次年度に繰り越した。さらに研究進展により、実験動物を多数使用する予定となり、このための動物飼育費用のために予算額を取り分ける必要が生じた。これらに加え、来年度では実験動物関連と細胞培養関連を中心とした消耗品の補充及び実験動物の購入費に充てる予定である。
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