2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K16544
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中本 修司 北里大学, 医学部, 助教 (70648782)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肝再生 / 神経ペプチド / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝再生における肝血管系の果たす役割については十分に解明されていない。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は痛み刺激や炎症によって知覚神経より分泌される神経ペプチドである。これまでに我々はCGRPがマクロファージにおけるCGRP受容体のサブユニットである受容体活性調節タンパク質1(RAMP1)を介して血管新生を増強して創傷治癒を促進することを見いだした。そこで本研究では、RAMP1シグナルを介した肝切除後の肝再生メカニズムを解明することを目的とした。雌性9週令C57BL/6マウス(野生型,WT)とRAMP1ノックアウトマウス(RAMP1-/-)を用いて麻酔下に70%部分肝切除をおこなった。術後7日までの肝切除後の肝重量・体重比(%)、肝細胞増殖能、肝血管新生関連遺伝子発現などを比較検討した。またVEGF-C/Dの受容体であるVEGFR-3阻害剤(SAR131675)またはvehicleを投与した。WTに比較して、肝重量、肝細胞増殖因子、肝再生関連遺伝子(IL-6)発現はRAMP1-/-で低下した。さらに肝血管内皮マーカー(CD31, VEGFR2, VEGFR3)はWTよりRAMP1-/-で低下した。フローサイトメトリー解析でも肝血管内皮マーカー発現低下がRAMP1-/-でみられた。血管新生促進因子VEGF-Aには差はなかったが、VEGF-C,VEGF-DはWTよりRAMP1-/-で低下した。そこで、VEGF-C,Dの受容体VEGFR3の阻害薬SAR131675をWTに投与すると肝重量、肝血管内皮マーカー発現や血管内皮促進因子発現が低下した。RAMP1シグナルは、VEGF-CやVEGF-D産生を通して類洞内皮細胞上VEGFR-3に作用して類洞内皮細胞が増殖して肝再生に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。マウス肝部分切除モデルを用いて、RAMP1シグナルが血管新生を促進して肝再生に関与することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画に沿って、本研究を進めていく。RAMP1シグナルが血管新生を増強させて肝再生を促進することを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品を購入にあたり、輸入による手配や外国での生産に要する時間がかかるなどして次年度に繰り越した。、来年度では実験動物関連と細胞培養関連を中心とした消耗品の補充及び実験動物の購入費ならびに、論文掲載料に充てる予定である。
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