2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanisms by which activating receptors in neutrophils regulate hepatic ischemia-reperfusion injury
Project/Area Number |
22K16545
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
殷 恩智 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (70844786)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝臓虚血再灌流障害 / 好中球 / 活性化型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓手術の成功には虚血再灌流障害の制御が不可欠である。しかし、その制御機序は十分に解明されていない。研究代表者は、好中球に発現する受容体LMIR4の欠損マウスで肝臓虚血再灌流障害が軽減することを見出している。LMIR4はペア型免疫受容体LMIRファミリーに属する活性化型受容体である。本研究の目的は、好中球の活性化型受容体LMIR4に着目して、肝臓虚血再灌流障害の分子機序を解明することである。野生型マウスとLMIR4欠損マウスに肝臓虚血再灌流障害モデルを施行した。野生型マウスで認められる好中球浸潤、肝細胞壊死、肝臓組織における炎症性サイトカインの発現などがLMIR4欠損マウスで減弱することを確認した。肝臓虚血再灌流障害により経時的に肝臓組織で放出される分子を解析中である。また、LMIR4の細胞外領域を利用する結合アッセイとレポーターアッセイによりLMIR4リガンド候補分子の同定を試みている。正常の肝臓及び虚血再灌流障害にある肝臓から抽出した総タンパク質や総脂質を固想化したプレート上で結合・レポーターアッセイを行ったが、LMIR4の細胞外領域との結合は認められなかった。現在、これらの総タンパク質や総脂質をクロマトグラフィーで細分画して、結合・レポーターアッセイを行っている。また、野生型とLMIR4欠損好中球の遊走能をin vitroで解析したが、有意な差はみとめられなかった。従って、虚血再灌流障害を受けた肝臓で放出されるLMIR4リガンド分子の存在下で好中球の活性化・遊走が生じると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点で、虚血再灌流障害を受けた肝臓組織からLMIR4リガンド候補分子の同定に至っていないので、現在までの研究進捗状況はやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、野生型とLMIR4欠損マウスの肝臓虚血再灌流障害モデルの解析を続ける。同時に、正常の肝臓及び虚血再灌流障害を受けた肝臓から抽出した総タンパク質や総脂質を各種クロマトグラフィーで細分画して濃縮した成分をスクリーニングし、LMIR4リガンド候補分子の同定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
マウス飼育室の改築に伴い、数カ月以上にわたりマウス飼育室での実験が制限を受けた。そのため、本研究に必要なマウスの実験は少なくなり、本年度の使用額(消耗品など)も少なくなった。次年度では、前年度分と合わせて、マウスの解析実験に必要な費用を使用して、本研究の目的を達成する予定である。
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