2022 Fiscal Year Research-status Report
Preventive effect of re-expansion lung edema by inhaled Nitric Oxide during minimally invasive cardiac surgery
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22K16561
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牛島 智基 九州大学, 大学病院, 助教 (70529875)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 低侵襲心臓手術 / 片側性肺水腫 / 片肺換気 / 肺虚血再灌流障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
低侵襲心臓手術後の片側性肺水腫を想定するため、間欠的心筋保護を併用した体外循環併用心停止下片肺換気のモデル作成にも着手を行ったが、数時間の心停止モデルの不安定性と心筋保護液を追加することによる血液希釈などもあり、安定したモデルとなりえないと判断した。 ブタ体外循環下片肺換気モデルの作成に関しては、実際の臨床での手術では、心停止時は肺血流がほぼ消失する状態であるため、当初の計画と違い、体外循環併用時に主肺動脈を遮断する方針とし、血行動態を実際に手術に近似させるよう変更した。 3時間の体外循環下片肺換気を行い、その後3時間の観察期間を設けた。片肺換気はブタの気管支の解剖学的特徴から左肺虚脱のモデルとした。この実験系では安楽死後の左右下葉の湿乾燥重量比を測定すると左肺すなわち虚脱側での肺水分量が多いという傾向が見受けられた。病理学的には明らかな差があるとまでは言えなかった。 片側性肺水腫の原因は肺虚血再灌流障害の増悪によるものではないかという推察を念頭におき、病理的変化が生じるまでのモデル作成を行うためには慢性期実験が必要、すなわち体外循環離脱後の観察期間を延長する必要があった。肺虚血再灌流障害では虚血増大時にマクロファージの活性化と炎症性サイトカインの増加がみられ、再灌流時に好中球が組織へ隔離され、細胞障害因子などを放出することから、観察期間3時間という急性期で比較可能な評価項目として炎症性サイトカインに着目して実験を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブタ体外循環下片肺換気のモデルは先行論文になく、モデル完成までに試行錯誤を要した。実際の臨床での手術を想定して、心停止モデルでの予備実験も行ったため、最終的なモデル確立に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
ブタ体外循環下片肺換気モデルは申請時と多少のプロトコールの相違はあるが、安定して体外循環、片肺換気時間、観察期間を確保できるようになってきている。 今後は評価項目を増やし、換気肺と虚脱肺での相違のある項目を探索する。 左右の肺で差のある評価項目がまとまり次第、一酸化窒素ガス吸入群への着手を行う。また一酸化窒素ガスの投与濃度や投与時間の条件をいくつか試す必要がある。
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Causes of Carryover |
未使用が生じた理由:年度末に人員の異動などで実験不可能な時期を要した。一部予定していた実験ができず、次年度に持ち越す形となった。
次年度使用計画:令和4年度経費の中で211529円の未使用分があった。これを次年度に繰り越し令和5年度は合わせて1901529円を消耗品中心に使用して研究を実施する予定である。
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