2022 Fiscal Year Research-status Report
拡張型心筋症に対する羊膜間葉系幹細胞を用いた新規治療法の最適化の検討
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22K16562
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
生田 亜由美 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 非常勤医師 (50818424)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心筋再生治療 / 羊膜間葉系幹細胞 / 拡張型心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
拡張型心筋症は、本邦における重症心不全の原因疾患として重要な位置を占める難治性疾患である。根本的な治療法は見つかっていないが、これに対する新規治療法として、幹細胞投与によるパラクライン効果を用いた治療について世界中で研究が行われているが、まだ実臨床において高い効果が得られていないのが現状である。申請者は、拡張型心筋症モデル動物に対し、ヒト羊膜間葉系幹細胞を心表面に静置する方法による心機能改善効果を検証するpilot studyを行い、安全かつ心機能改善に高い効果を有することが示唆された。これは、免疫細胞を介したsecondary paracrine効果によるものと考えられるが、現時点ではそのメカニズムは明らかになっていない。したがって、本研究では、「拡張型心筋症に対するaMSC-dressing法による心機能改善効果は、免疫細胞を介したsecondary paracrine効果によるものである」ということを仮説とし、拡張型心筋症に対しヒト羊膜間葉系幹細胞を投与した際の心機能改善のメカニズム及び治療のレスポンダーを解明することを目的として行っている。 令和4年度は、拡張型心筋症モデルのマウス、ラットに対し、ヒト羊膜間葉系幹細胞をフィブリンシーラントフィルムを用いて心表面に静置し、4週間心機能評価を行った拡張型心筋症モデルマウスにおいては、細胞移植群で非移植群と比較し投与後4週時点での心機能低下が有意に抑制されていた。また、拡張型心筋症モデルラットにおいては、細胞移植群で非移植群と比較し有意に投与後4週時点での心機能が改善されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は間葉系幹細胞投与後の心機能の改善効果についての検討を行う予定としており、予定数の心機能評価を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
心機能評価に使用した個体より犠牲死にて心臓を摘出し、術後4週時点での分子生物学的・組織学的解析を行い、間葉系幹細胞投与による心機能改善のメカニズムについての検討を行う。また、必要に応じて術後1週時点での心臓検体についても同様の評価を行う。
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Causes of Carryover |
トランスジェニックマウスのタイピングの方法を簡便化し使用する試薬が減ったため、予定していた試薬の購入費と差額が生じた。予備実験に使用する予定でwild typeの動物購入費を計上していたが、トランスジェニックマウスの繁殖で発生したwild typeを使用したため購入費が不要となった。次年度使用額については、予定しているメカニズムの解析において、解析項目を予定より増やすため、この試薬購入費に充てる予定である。
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