2022 Fiscal Year Research-status Report
肺がんの胸膜播種進展に関与するがん微小環境の病態解明
Project/Area Number |
22K16568
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺癌 / 癌微小環境 / 胸膜播種 / がん関連線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肺がん胸膜播種巣の成立におけるがん微小環境役割に着目し、そのメカニズムを解明することで、肺がんの胸膜播種の形成において中心的役割を担う分子を明らかにし、新規治療標的を探索することを目的としている。 2022年度は、非小細胞肺がん細胞株と臨床検体由来のがん関連線維芽細胞(Cancer associated fibrobrast, CAF)を用いて、CAFが及ぼす肺がん細胞の表現型の変化について、in vitro 共培養および馴化培地(conditioned medium, CM)モデルを用いて検証した。その結果、CAFの共培養およびCAF由来のCMの刺激により、肺がん細胞細胞の増殖能、遊走・浸潤能、ECMに対する接着能、足場非依存性増殖能のいずれも亢進することを明らかにした。 マウス胸膜播種モデル作成においては、確実な胸腔内への細胞移植が課題となる。そこで小開腹後直視下に横隔膜を経由してがん細胞を胸腔内注入する独自のモデルを樹立した。これにより、再現性の高い胸膜播種モデルの作成が可能となった。このモデルを用いて、ルシフェラーゼ発現レポーターを導入した肺がん細胞を複数樹立し、CAFと一緒にマウス胸腔内へ移植し、CAFの有無による胸膜播種進展の違いをin vivoイメージングシステムを用いて経時的に検証した。その結果、CAFをがん細胞と一緒に胸腔内移植することにより胸膜播種進展が促されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん細胞の増殖能、遊走・浸潤能、ECMに対する接着能、足場非依存性増殖能は、がん胸膜播種形成において重要な能力とされるが、in vitroモデルを用いてCAFがこれらを促進することを明らかにした。さらにマウス胸膜播種モデルを用いて、CAFをがん細胞と一緒に胸腔内移植することにより胸膜播種進展が促されることを確認した。これらの結果から、CAFが肺がんの胸膜播種の形成において重要な役割を担っていることが示唆された。以上より研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元共培養で得られるがん・CAFユニットから分離抽出した肺がん細胞と肺がん細胞単独(スフェロイド非形成)のペアサンプルを用いて、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を実施する。これによりがん・CAFユニット中の肺がん細胞において特異的に活性化しているシグネチャーを明らかにする。得られた結果からがん・CAFユニット形成において中心的役割を担う分子を探索し、各種検証実験を行う。
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Causes of Carryover |
物品購入において、一部当初の見込みよりも少額で購入出来たものがあったため、余剰が生じた。次年度に繰り越して解析費用および物品購入に充当する予定である。
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[Presentation] Cancer-associated fibroblasts drive spheroid formation and pleural dissemination in non-small cell lung cancer2023
Author(s)
Masayoshi Ohki, Ken Suzawa, Naoki Matsuda, Shuta Tomida, Yin Min Thu, Tomohiro Habu, Mao Yoshikawa, Kazuma Iwata, Kazuhiko Shien, Hiromasa Yamamoto, Shinichi Toyooka
Organizer
AACR Annual Meeting 2023
Int'l Joint Research