2022 Fiscal Year Research-status Report
実臨床を目指した大型動物での積層線維芽細胞シートを用いた気管支断端瘻予防法の開発
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22K16571
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹内 由利子 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00938392)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 線維芽細胞 / 細胞シート / 気管支断端瘻 / 再生医療 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
肺切除後の気管支断端における積層線維芽細胞シートの移植による血流増加作用および気管支断端部の補強効果を大型動物で調べるため、イヌの気管支断端モデルを用いて検討を行った。 まず、イヌの口腔粘膜から単離した線維芽細胞を6-well plateに2.5×10^5 cells/ml播種し、2週間培養することで、シート化(厚さ50~60μ、直径1.5cm)することに成功した。気管支断端部に移植する際のハンドリングは、スプーン状の機器を用いることにより効果的に断端部を覆うことができた。さらに、イヌ1頭にて気管支断端モデルの作成を試みた。全身麻酔下に、自動縫合器を用いて気管支を切断・閉鎖したのち、積層線維芽細胞シートを、断端を覆うように2枚貼付した。モデルの作成はスムーズであったが、術後管理や犠牲死後の組織摘出の過程において、術後の創感染や気管支断端周囲の癒着を認め、やや難渋した。細胞シート移植群の気管支断端には高度な組織増生が見られ、組織学的にも膠原線維の存在が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イヌの気管支断端モデルへの線維芽細胞シートを貼付とその組織標本の解析という、主たる実験計画は、概ね滞りなく進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、イヌ気管支断端モデルに対する細胞シート移植群の頭数を増やし、さらにコントロール群も追加する予定である。
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Causes of Carryover |
細胞シートを貼付した気管支断端部の組織学的評価及び、線維芽細胞シートが分泌する因子の解析のため、免疫染色やELISAを行う予定であるが、イヌの実験に用いる抗体やELISAは、小型動物のものと比較して種類が少ない。さらに、当教室における使用経験もないことから、購入する製品や実験のプロトコールも手探りである。よってこれらの物品の購入のため、次年度使用額が生じるが、少額であり概ね計画通りである。
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