2022 Fiscal Year Research-status Report
酸化DAGを起点とした間質性肺炎の分子機構解明と新たな病勢推定マーカーの開発応用
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22K16578
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松崎 智彦 東海大学, 医学部, 講師 (10769326)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 肺線維症 / 酸化型ジアシルグリセロール / プロテインキナーゼC |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】肺線維化の発症には酸化ストレスが関与することが判ってきている。我々は酸化型DAGがPKCシグナルの過剰活性化を惹起し、肝臓の線維化を引き起こすことを明らかにしている。肺の線維化においても同様に酸化ストレスの負荷により産生される酸化型DAGが重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では、ブレオマイシン(BLM)誘導性肺線維症モデル動物を用いて、酸化型DAGの肺線維化に及ぼす作用を解析した。また、酸化型DAGの還元消去活性を有する薬剤であるEbselenによる肺線維化抑制作用を検討した。【方法】肺線維化モデルは8週齢のC57BL/6Jマウスを用い、BLM(4mg/kg)を肺内へ誤嚥させた。Ebselenは、BLM投与前1週間から採材までの期間、週5回経口投与(1回当たり0.16mg/kg)した。BLM投与2週間後、肺を採取し、組織学的、生化学的な解析を行った。【結果】BLM投与により過酸化脂質および酸化型DAGの増加し、また、コラーゲン線維が蓄積した。BLM投与によりPKCδのリン酸化が亢進していること、更にEbselen投与によりリン酸化が有意に抑制されていることが判明した。線維化のマーカー分子であるαSMA、collagen1及び線維化の重要なエフェクターであるTGF-βのmRNAの発現がBLM投与により増加し、Ebselen投与により有意に抑制された。【結論】以上のことからBLMの投与によって肺組織中で脂質過酸化反応が惹起されることにより酸化型DAGが産生され、その結果、PKCδの過剰活性化を介して肺の線維化が誘発されているものと考えられた。また、EbselenはBLM投与によって産生された酸化型DAGを還元消去することにより、肺の線維化を抑制していると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予想通りの研究結果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果をもとに考察を加えて、さらに研究内容を充実させていく予定である。
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Causes of Carryover |
設備環境を整えるための研究室整備に予定より時間がかかってしまったため、残が生じました。 研究室の整備が整いましたので、次年度に繰り越して研究環境設備費として科研費の使用を計画しています。 また、膨大なデータ管理のため、研究補助員を新たに雇用予定です。
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